内容説明
第二期甲飛を卒業してから終戦の日まで飛びつづけ、80%の同期生を戦いで失った著者がつづる艦隊水偵隊の死闘の数々。
目次
1 若き飛行兵たち
2 開戦前夜の連合艦隊
3 真珠湾への数カ月
4 太平洋での転戦
5 ソロモンでの激戦
6 落日の連合艦隊
7 新鋭偵察機彩雲の死闘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dongame6
4
開戦一年半前に航空隊へ入り、艦隊水上偵察機の下士官操縦士として開戦後の南方作戦から珊瑚海海戦、南太平洋海戦、その後地上基地隊としてショートランドでソロモンの空を戦い、艦隊に戻りマリアナ、レイテを戦い、内地に帰還後は彩雲の搭乗員として九州から沖縄への偵察を何度も行ったという歴戦の勇士が書いた自身の戦記本で、その内容も「水上機から見た太平洋戦争」と呼べるほど広い戦域を網羅しており大変面白かった。特に航空隊の雰囲気や士官と下士官の間柄、整備との人間関係や、司令部への不満など航空隊の空気を書いてる所が興味深かった2014/01/19
tora
0
三座の零式水上偵察機で戦場を飛び回った操縦員の記録。スラバヤ沖海戦、ソロモン海戦、南太平洋海戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦と艦隊の偵察機として数々の戦場を渡り歩き、終戦直前は彩雲へ機種変換し沖縄偵察へ飛ぶ。個人として当時感じていたことをありのまま書かれているようで、さまざまな不満を抱えながらも現場で職務をこなしていた様子が伺える。中盤以降は、自分より階級が上であるが実戦経験の少ない中尉、艦隊司令部などへの憤りがかなり強い語調で書かれている。最後の宇垣特攻の記述は興味深い。2014/10/15
鈴木誠二
0
こういう良本に巡り合えるので古本屋通いはやめられない! どのエピソードも良いですが、水偵搭乗員から見たレイテ沖海戦描写が実に良いです。傷つき油を引きながら敗走する栗田艦隊を上空から見て、自分の乗艦だった筑摩の姿はなく、利根の周囲を飛ぶシーンは号泣モノ。それに彩雲に登場機種が変わってから発動機の誉の不調に全く言及していないのも興味深い。ちゃんとした整備が出来れば誉の稼働率はまるで違っていたのではと思ったり。2018/07/06