感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
植田 和昭
18
ミサイルの歴史から始まり、米ソの戦略核兵器戦略に至るまで丁寧に解説された一冊。何回も読んでいるが、何回読んでも興味深い。特に1998年の米ソ核戦争の描写は圧巻。現在では、中国も含めなければならないが、当時から中国の成長を予測していた点もすごい。1980年代当時ソ連の核戦略兵器の方がアメリカより大きく、先制核攻撃を受ける可能性があったが、そのために費やした軍事費がソ連崩壊へとつながっているのはなんとも皮肉だ。現在では、核戦争の危機が去ったかのような論調だが、核戦争は、今日起こっても不思議ではない。2020/08/29
coolflat
5
初版は冷戦末期の1982年。米ソ軍拡競争のピークだ。最も米ソ間が緊張した時期なため、軍事予算はとてつもない。そういう意味で、軍事戦略のこれ以上では見られないであろう“最大値”というものが見えてくる。なお、「ミサイル戦争」の名のとおり、米ソによるミサイル開発やミサイル戦略を中心に描かれている。本書の凄いところは情報量に尽きる。各国の戦術ミサイルや戦略ミサイルの種類などかなりのものだ。個人的には、冷戦下の米国(トルーマンからカーターまで)の軍事戦略は読み応えがあった。核抑止戦略の移り変わりを知ることができる。2014/08/22