内容説明
雲は束縛されない身の上と自由の象徴。噪音と不安で押し潰されそうな現代人の頬へ詩人の透き通った魂から、ふうっとひと息。
目次
雲
雲の歌
雲の美しさとメランコリー
対話
野を越えて…
波濤のごとく
南風
軽やかな雲
見知らぬ町
聖地をめざす旅人〔ほか〕
著者等紹介
ヘッセ,ヘルマン[Hesse,Hermann]
ドイツの抒情詩人、作家。1877年7月2日南ドイツの小都市カルプに生まれる。15歳の時にマウルブロン神学校を脱走した後、時計工場の見習いや本屋での販売助手などを経て苦労の末に初志貫徹、詩人になる。トーマス・マンやロマン・ロランとの親交を深める。ゲーテ賞(1946年)、ノーベル文学賞(’46年)、ラーベ賞(’50年)などを受賞。’62年8月9日モンタニョーラにて没
倉田勇治[クラタユウジ]
滋賀県に生まれる。現在、滋賀大学や関西大学の兼任講師としてドイツ語教育に従事し、ドイツ語学習ソフトの開発に取り組む
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感想・レビュー
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ゆうゆうpanda
45
『車輪の下』は十代前半で読んだ。名作を書く人=優等生というイメージがあったが、ヘッセは社会に適応するのが苦手だったらしい。意外な驚きだった。「この広い世界に、この私以上に雲のことを知り、雲を愛している男がいたなら、私に教えてほしい。」ロシア、スイス、ヴェルテンベルク州、スイスと国籍が変わった彼。雲を「故郷のない仲間」だとしている。地続きだが高い山や人種で区切られた欧州。南風に乗って時には荒々しく、また、悠々と頭の上を流れていく雲は憧れだったに違いない。センテンスの長い詩で読み難かったが、表現は鋭敏だった。2017/03/08
テツ
4
ヘッセの詩と雲の写真が並べて収録されている。ヘッセが彼の著書を通じて語りたかったのは「自分であれ。そして自分という存在を探求し続けよ」ということだと思うんだけれど、その在り方は確かに雲に似ている気がする。空に浮かび形を変えながら消え去るまで存在を模索し続ける姿が。確固とした自分自身を確立させながらその上で更に思い描く真の自己について考えていく。それは自分探しなどというモラトリアム期間の時間潰しとは異なり、生涯続けていかなくてはならない。ヘッセの穏やかなストイックさがとても好きだ。2014/01/08
猫森
2
ヘッセの直筆が数点掲載されていて嬉しい。ヘッセ作品の中で特に「雲」を意識したことはなかったが、言われてみればなんと自由に形を変えて、時代を経て、この星をめぐる存在だろう。美しいカラー写真に徹底して人影(人の存在を示すもの)がないのが個人的には引かれた。編者と翻訳者の解説も、読みごたえがあり、ヘッセ作品への敬愛が窺がわれた。「車輪の下」「ゲルトルート(春の嵐)」を再読したくなった…。2020/02/05
mai*
2
美しい本でした。風を感じたり、気温を感じたり、とても心地よい時間を過ごすことができました。2013/02/28
よ
1
「私は、この白き者たち、不安定なものたちを、太陽や、海、それに風と同じように、愛している。なぜなら、それらは、故郷をもたない者の姉妹であり天使であるのだから。」2021/07/22