出版社内容情報
多数の図を用いて複素関数の世界を解説。複素多変数関数論の入門として上空移行の原理に触れ,静電磁気学を関数論的手法で見直す。〔内容〕ガウス平面/正則関数/コーシーの積分表示/岡潔の上空移行の原理/静電磁場のポテンシャル論
目次
1 ガウス平面(ガウス平面と極座標;複素数の和と積 ほか)
2 正則関数(正則関数;コーシー‐リーマンの関係式 ほか)
3 コーシーの積分表示(曲線の長さと線積分;コーシーの第一定理 ほか)
4 岡の上空移行の原理(2変数正則関数とべき級数;ワイエルシュトラスの補助定理 ほか)
5 静電磁場のポテンシャル論(ガウスおよびストークスの定理;調和関数とポアソンの方程式 ほか)
著者等紹介
山口博史[ヤマグチヒロシ]
1942年長崎県に生まれる。1965年広島大学大学院理学系研究科修士課程(数学)修了。現在、奈良女子大学理学部数学教室教授。理学博士
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感想・レビュー
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舌噛
1
初等関数の導入からリーマン面を使って説明していて実関数の微積では味わえない面白さを最初から体験できる。解析接続、最大値原理、複素積分に関する諸定理を示した後、クザンの落差定理から第1第2問題の紹介を経て、通常1変数の関数論の本には載っていない岡の上空移行の原理について第4章で触れられている。数学的な厳密さを犠牲にして幾何学的な直感に頼った説明のスタイルは賛否両論あるだろうが複素関数の魅力が伝わるとても個性的で面白い構成。最終第5章の定理たちに証明がほとんどついていないのと少なくない量の誤植が残念。2017/11/26