内容説明
南から北上してきたクマゼミ、小型化しているカブトムシ、冬でも繁殖するナナホシテントウ…。都会があたたかくなる「ヒートアイランド現象」のなか、たくましく生きる虫たちにせまる!
著者等紹介
藤原幸一[フジワラコウイチ]
生物ジャーナリスト。ネイチャーズ・プラネット代表。ガラパゴス自然保護基金(GCFJ)代表。学習院女子大学非常勤講師。秋田県生まれ。日本とオーストラリアの大学・大学院で生物学を専攻し、グレート・バリアー・リーフにあるリザード・アイランド海洋研究所で研究生活を送る。その後、野生生物の生態や環境問題に視点をおいた生物ジャーナリストとして世界中で取材を続けている。地球温暖化や都市でのヒートアイランド現象による生きものたちの移り変わりを、ライフワークの一つとして撮影し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
80
ヒートアイランド化する都会での昆虫の生態系の変化を追う写真絵本。温度分布を3次元で表現すると、東京や大阪の都市部を中心に富士山のような円錐形になる。昔は九州にしかいなかったクマゼミが東京にも出没。ショウリョウバッタも北海道で暮らせるようになった。竹筒を巣にしていたヒメハキリバチは金属のチューブに巣を作るようになった。テントウムシやミツバチは繁殖に加速。植え込みからは熱帯のシュロの木が生える。外国産のカブトムシやクワガタが野に放たれ、デング熱やマラリアを持った蚊も北上。虫たちが発する警告に耳を傾けねば。2016/07/22
kinkin
38
都会が暖かくなる「ヒートアイランド現象」。その中でたくましく生きる虫たちが紹介されている。もともと南域で生息していたクマゼミや北海道にいなかったショウリョウバッタ、捨てられたタイヤの中で暮らすてんとう虫など。またこの本で知ったのは2010年、海外からの昆虫輸入量は7995万匹ということに驚いた。この昆虫を取って稼ぐために結果学校に行かず教育を受けられない子供たちの存在、その稼ぎで暮らしている家族もいるために一方的に非難することも出来ないと感じた。写真は美しいが考えさせられた。良本。2015/04/16
紅花
12
環境が変わって、生きられなくなる虫、変わった環境でもたくましく生きる虫。名古屋市内ではクマゼミばかりになったのも、そういうわけだったのね。最後の輸入の昆虫の話が、一番衝撃的だった。日本で珍しい虫と喜ばれている背景を、よく考えなきゃ。2018/10/09
いろ
9
虫メインでヒートアイランドに警鐘鳴らす写真科学絵本。目のつけ所がいい。小4総合で環境問題を学んだばかりだったのと,興味ある虫が話題なのも手伝い,息子はとても興味を持って読む。身近な虫が温暖化で生き方や住む場所を変えている事は実感していなかったので小さな驚き。息子は東京の自然教育園内シュロが,1965年2本だったのが,2010年には2324本まで増えてる事に「増えすぎw」と大ウケ。カブトやクワガタ小型化も温暖化の影響!?驚いた。あとがき,日本での海外甲虫ブームが海外子ども達の学校に行けない原因とは衝撃。2017/10/06
けいこん
6
なかなか興味ふかい内容の絵本だった。工業廃水や発電所の排熱温水で生息する熱帯魚とかのことは知ってたけど、都市全体の気候までこうも変わってしまっていたのか。。2020/02/13