内容説明
修は、自分の気持ちがうまく話せない。心をうちあけられるのは、飼っているうさぎのチイ子だけ。そんな修は、古い洋館に住むおばあさんに出あい、少しずつ自分の思いを話しはじめた…。勇気とは、友情とは、自信とは―?修の心の成長を繊細に描く物語。
著者等紹介
広瀬寿子[ヒロセヒサコ]
神奈川県に生まれ、京都に育つ。『小さなジュンのすてきな友だち』(あかね書房)で児童文芸新人賞、『まぼろしの忍者』(小峰書店)で日本児童文芸家協会賞、『そして、カエルはとぶ!』(国土社)で赤い鳥文学賞、『ぼくらは「コウモリ穴」をぬけて』(あかね書房)で産経児童出版文化賞大賞を受賞。千葉県在住
高橋和枝[タカハシカズエ]
1971年神奈川県生まれ。東京学芸大学教育学部美術科卒業。神奈川県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
57
子供の頃ウサギを飼っていたので修君の気持ちがビンビン伝わってきました。修君のご両親と修君が心通じ合っていないようなのが切ないが、お仲間のようなおばあさんと知り合えて一安心。それも小野君のお陰です。堂本君のような親子、どこでも見かけますが、小野君のような優しい子は貴重だ。移転していった先にも小野君のような友が見つかるといいな。潔さんに電話してくれた事、修君の大ヒット。おばあさんが心安らかに最期を迎えられそうで嬉しい。素晴らしい本に巡り会わせてくれた読メさんに感謝です。2016/09/01
はる
53
自分の気持ちを上手く話せない少年と、古い洋館に住むおばあさんとのふれあい。優しいおばあさんのおかげで少しづつ成長していく少年。でもおばあさんには悲しい過去と、隠している秘密があったのです…。主人公の性格が私に似ていることもあって共感しやすかったです。でも両親が少し冷た過ぎる!本人たちに自覚が無いのが余計に腹立たしい。そのぶん、おばあさんとのシーンにホッとするけれど。おばあさんの言葉がどれも素敵で心に残ります。彼女のためにも少年は健やかに成長するといいですね。2016/08/20
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
49
児童書。自分の気持ちを表現するのが苦手な主人公の10歳の修。古い洋館に住むおばあさんのあかりさんとの出会いによって、少しずつ心が解されていき成長していく。しかし、あかりおばあさんには悲しい過去があった。あかりおばあさんは今度は勇気ある修の行動にによって、大切な存在に再開出来た。お互いを想う気持ちが良かった。ありのままを認める事、そういう存在の人がいる事の大切さを感じ、とても印象深い1冊になった。2020/11/30
anne@灯れ松明の火
31
読友さんご紹介。広瀬さん初読み。遠い方で。思っていることをうまく話せない修。父や母にも、友達にも。ウサギのチイ子にだけは話せるけれど、大きくなりすぎたチイ子のことは、悩みのタネでもある。ある時、自分のことを気にかけてくれたクラスメイト小野くんに連れられ、おばあさんに出会って……。ふたりのお蔭で、勇気をもらった修。その勇気は、おばあさんにも幸せをもたらす。いい作品だった。高橋和枝さんの挿絵が優しく包んでくれるようだ。 2021/05/29
sui
25
自分のことをうまく話せない修。心を許せる相手は飼っているうさぎのチイ子。でも大きくなり過ぎたチイ子を、両親は良く思わなくて・・・。修は、珍しい存在じゃないと思った。お喋りでも肝心な事を言い出せない子もいる。おばあさんと出会い、おばあさんの庭でのびのび遊ぶチイ子と共に、どんどん心を開いていく修に嬉しくなる。自信があって明るいだけの人はどこかで人を萎縮させ傷付けることもある。どこか弱いところがあっても、人に優しくなれる修のような子の方が、私は好きだな。読めて良かったです。2016/09/13