出版社内容情報
父親が急死し、はまなす写真館のあとをついだ龍平さん。ある日、古くから伝わるカメラのアンソニーが、龍平さんに話しかけたのです。「海に帰った白い馬」等、7話の連作ファンタジー。\(小学校高学年以上向)
第48回青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」
内容説明
古くから伝わる、箱形で蛇腹のついたカメラの“アンソニー”が、龍平さんに語る「はまなす写真館」の歴史とは…。「海に帰った白い馬」「山寺のカエデ」など、七話の連作ファンタジー。
著者等紹介
茂市久美子[モイチクミコ]
岩手県に生まれる。実践女子大学英文科卒業。在学中より童話を書きはじめる。『おちばおちばとんでいけ』(国土社)で第3回ひろすけ童話賞受賞。同人誌『童』同人
黒井健[クロイケン]
新潟市に生まれる。新潟大学教育学部美術科卒業。出版社で絵本編集に携わった後退社、フリーのイラストレーターとなり、絵本・童話のイラストレーションの仕事を中心に活動。第9回サンリオ美術賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
111
100年以上続く実家の写真館を継ぐためカメラマンの夢を諦めた青年。釈然としない思いを抱えている彼を叱咤する声が。振り返ると創業当時からある木製の蛇腹カメラ『アンソニー』が喋ってる! 一世紀も大切に使われるうち心を持つようになったのだ……。写真館を訪れるお客との不思議な交流が描かれる7篇の物語。『またたびトラベル』と同じ茂市久美子さん×黒井健さんのコンビが奏でるファンタジーは優しく、どこか懐かしい気持ちになる。昔も今も、写真館で写真を撮るのは特別な時間。一枚の写真にかけがえのない人生がある事が伝わってくる。2016/03/06
masa@レビューお休み中
105
アンソニーという名前がつけられたのは…。人ではなく一台のカメラです。海辺の町にある「はまなす写真館」に古くからあるアンソニーは、ただのカメラではありません。人間の言葉を話すことができるのです。仕方がなく、跡を継ぐことになった龍平さんに話かけたアンソニーは、彼の知らないことをたくさん教えてくれます。父のこと、祖父のこと、そしてこの写真館をつくった創業者のことを…。知らないということは恥ずかしいことではない。でも、知ろうとしないことは恥ずかしいことなのかもしれないですね。不思議な写真館で起こる温かいお話です。2016/01/19
ミーコ
48
「またたびトラベル」を読んで茂市さんの本が読みたくなり、同じく黒井さんの挿絵なので、借りて来ました。古い写真館を、嫌々継いだ龍平さんの心情が良い方向へと変わって行くのにワクワクします。どの話も良かったですが「山寺のカエデ」と「薄雪写真館にひみつ」「ザシキワラシ」が印象的でした。蛙の手に似てるから「かえで」と言う事を初めて知りました。茂市さん これからも読んで行こうと思います。2017/06/27
はる
48
読友さんの御感想から。老舗の小さな写真館を継いだ青年の、不思議で優しい物語。黒井健さんの挿絵が幻想的な雰囲気を醸し出している。そのせいか、他の茂市さんの作品より大人っぽく感じてしまう。挿絵の力は大きいです。座敷わらしの話が特に良かった。いつもながら、あとがきが本篇と同じくらい魅力的。2017/05/18
ぶんこ
39
黒井さんの絵が目的で借りました。 絵が少ないのが残念ですが、物語も良かったです。 父親の急死で、不本意ながら街の写真館を継いだ龍平さん。 5代目となった龍平さんが、1代目からの蛇腹式カメラ(アンソニー)とのお喋りから、不思議な体験を通して成長していきます。 1代目からの街の写真を整理し始めるのを読んで、私まで見てみたくなりました。 自分の住んでいた街の、昔の写真・・・見たいですね。 2015/03/02