出版社内容情報
昔、広島の小学校で夜になるとタヌキが勉強をしているという新聞記事が載ったことがありました(本当のことです)。タヌキだって勉強したい!学ぶ楽しさはタヌキだって同じなのです。教頭先生の手助けもあってタヌキの小学校は大盛りあがり。けれど時は流れ、世の中は戦の色が強くなっていきます。学校ですら安全な場所ではなくなりました。タヌキの学校はどうなってしまったのでしょう…。たくましく生きる人々とタヌキたちの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mug
65
“ちょっと昔の広島”が舞台。 ●前半:夜中の学校でタヌキ先生の授業。ある場面で、葉っぱにタヌキから人間へのメッセージが書かれていた。懸命に覚えた文字で、人間に伝えたかったのはあの言葉。胸に響いた。 ●後半:戦争の話。易しい表現で書かれているため、年長の子にも“なんとなく”だけれど伝わった様子。 ●ラストは、世代の代わったタヌキたちが登場。葉っぱのお金に感謝の気持ちを込めたタヌキ。それに気付かぬフリをしてあげたおじさん。優しい気持ちで読み終えた(*^^*)2020/06/06
chiaki
39
今年度の低学年課題図書。明治6年「これからの世の中は教育が必要」とタヌキのお父さんは、自ら人間の子どもに化けて小学校で教えを受け、今度は自ら夜の小学校で教壇に立ち、子ダヌキたちに教えます。ある日それを見てしまった教頭先生は…。やがて忍び寄る戦争の影。普通に教育を受けられることの有り難さは、今のこの状況に通ずるものがあり胸が熱くなる。小1の娘にヒロシマの記述があるおはなしを読むのははじめてでしたが、ほっこりするお話しの中でしっかりとヒロシマの事実を伝える本書は、娘の心にもじんわりと沁み入る余韻を残したかと。2020/05/31
かおりんご
31
2020年度全国課題図書低学年の部。これまたヘビーな話。タヌキが学校に来て勉強をするだけなら、ファンタジーとして捉えられるけれど、広島の原爆や戦争と絡めて感想を書くとなると難しい。そもそも、戦争のことを描いているページは、そんなに多くないし。子供たちが書くとしたら、また平和になってよかったというところなんだろうけれど、そこまで理解できるか微妙。2020/07/16
わむう
27
第66回青少年読書感想文コンクール低学年の課題図書。タヌキだって勉強したい。その気持ちに気づきそっと勉強道具を差し入れする教頭先生。最後はやはりタヌキらしく葉っぱのお金で人間を騙します。そして騙されたフリをしてるおでん屋の店長さん。でも戦後変わった所は「アメリカとなかようなったけん英語の勉強も始めたかな?」の通り葉っぱに書かれた言葉はありがとうからサンキューへ。山下明生さんらしく温かいエンディング。タヌキを通し太平洋戦争の広島の被害を子どもにわかりやすく伝えてます。戦争で命を奪われるのは人間だけではない。2020/07/05
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
26
第66回全国青少年読書感想文課題図書 小学校 低学年 前置きに『広島で本当にあったことがいっぱいのお話です。』とあり、出来事が本当のことなのでしょうね。いえ、もしかしたらタヌキたちのことも…。人間でもタヌキ(代表として)でも、戦争は悲しさしか生みません。世界中、誰もが平等に学ぶことができ、安心できる世界になって欲しいと思います。2019/12/21