感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
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1979年刊。日本型能力主義教育に警鐘を鳴らしている。1960年代は、経済審議会の方針を受け、中央教育審議会が教育基本法に代わり「期待される人間像」を発表したように高度成長政策のもと、教育を人材開発政策の一環と捉える政治の動向があった。全国一斉学力テストはその一例である。実は教育を能力主義的に編成することは国家の教育への政治的介入に他ならず、子どもたちの間に序列意識を植え付けることにより、人権ないし学習権を毀損するという意味を持つ。偏差値至上主義に見られる価値の一元化という問題提起は、現代にも通じる。2022/06/10