出版社内容情報
梶 龍雄[カジタツオ]
著・文・その他
内容説明
「リア王が変なんだ!中で倒れてる!」京都観光案内のアルバイトから帰宅した旧制三高学生・木津武志は、“リア王”こと伊場富三が、蔵を転用した完全なる密室で毒殺されているのを発見する。下宿の同居人であり、恋のライバルでもある武志は第一容疑者に―。絶妙の伏線マジック+戦後の青春をリリカルに描いた“カジタツ”ファン絶賛の名作復刊。
著者等紹介
梶龍雄[カジタツオ]
1928年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒業。出版社勤務を経て文筆活動に。52年探偵小説専門誌『宝石』に短篇「白い路」が掲載され、ミステリ界へデビュー。77年『透明な季節』で第23回江戸川乱歩賞を受賞。巧緻な作品で、本格ミステリファンの記憶に残る傑作を多数発表。90年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
85
文庫にて再読。「なんでこの本絶版なの!」とノベルス読了時に思った本が復刊して内心ハイテンション。こうして読み返して仕掛けられた伏線にニヤニヤしたり声を挙げたりするとともにボンの恋、そして過去を振り返ったり、息子への想いに何処かノスタルジーと愛おしさを感じる。やっぱりこの本は昔を懐かしむ年齢になった人達に特におすすめ。年上女性への思慕と恋、伏線、当時の青春。カジタツさんが魅せてくれる要素はやはり惜しげもなく詰まってる。2022/09/08
ちーたん
80
★★★☆☆リア王が密室で死んだ。鍵を持ってるのはリア王と俺ボンと下宿先の未亡人のみ。でも未亡人はアリバイありで、俺が怪しまれてる~でも俺を信じてくれるカミソリやバールト、ライヒやマーゲン、カラバンという友がいる!◆序盤でここがなんらかのKeyだと目論んだが全くの見当外れで苦笑w前編は戦後まもなくの事件当時。後編は30数年後の解決編という2部構成。密室の詳細トリックまではわからなかったけど、死因とそこから紐解く犯人合ってたのが嬉しかった✨個人的には龍神池のが好みかな~。亀さん・ウサギさん殺しシーンが😭2022/12/28
yukaring
71
前の「龍神池」も面白かったけど今回の方がより本格ミステリ度が高く密室トリックも読んでいて楽しかった😆登場人物たちのキャラに愛着が持てるし、風光明媚な京都の佇まいもたっぷり堪能できる大満足の1冊。京都でステイタスを持つエリート学生の"三高生"たちの仲間の1人、リア王こと伊場が鍵のかかった下宿の部屋で毒殺される。鍵を持つ同居人のボンこと武志が疑われるが、友達思いの仲間達が武志の疑いを晴らすべく皆で推理合戦を繰り広げる。若き学生達の青春がテンポよく描かれ、絶妙の伏線回収も見事としか言いようがない名作ミステリ。2022/10/09
たか
54
前・後編の二部構成ミステリ。前編は戦後すぐの旧制三高が舞台。密室で通称『リア王』が毒殺される。当時の学生たちの描写が実に魅力的で、小説の世界にぐいぐい引き込まれる。多くの謎を残しつつではあるが、一応の決着をみる。▼ 後編は30年後が舞台。登場人物が皆んな学生だったため、過去に想いを巡らせ友人の死の真相を追うことが、青春を振り返ることと重なる。 ノスタルジックな青春ミステリとして優れており、ほろ苦い結末が待ち受ける。 因みに『リア王』は『リアリストな人』という意味で、シェークスピアとは全く関係ない。B-評価2024/11/06
koma-inu
51
戦後の京都を舞台に描かれる青春ミステリ。ボンやらバールトやらカミソリやら、なんなの、という名前の個性豊かな人たち。二部構成で、前半が過去、後半が30年後で、同じ密室事件を暴く。中盤の恋愛編でやや中だるみですが、密室トリックは、過去の伏線が効いて、すばらしいです。リア王の名前の由来は序盤に出てきます、気になる人はぜひ一読を!2023/09/09
-
- 和書
- 塩飽の島びとたち