内容説明
十一代将軍家斉は、御用の間の書棚で奇妙な書物を発見する。「土芥寇讎記」―諸大名二百数十名の辛辣な評価が記された人事考課表だ。編纂を命じた五代綱吉公は、これをもとに腹心を抜擢したのでは。そう推測した家斉は盤石の政治体制を築くため、綱吉に倣うことを決意する。調査役として白羽の矢を立てられたのは諸国探索経験のある小人目付、射貫大伍。命を懸けた隠密調査が始まった!
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年大阪府生まれ。97年に「身代わり吉右衛門」で桃園書房主催第20回小説クラブ新人賞佳作、2010年に単行本『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で中山義秀文学賞を受賞。22年、「百万石の留守居役」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
久しぶりの上田さん。新しいシリーズが開幕した。大名の『人事考課表』を作れと、第11代将軍になった(本作ではまだ将軍宣下はされていないが)家斉から命じられた小人目付・射貫大伍。隠密調査の幕開けだが、その道は険しそうな予感。さてさて次を読んでから追いかけるかどうか?そんな初回だった。2022/04/28
とし
76
隠密鑑定秘禄「退き口」1巻。将軍直属の隠密として大名の人事考課表を作れと、家斉から直接命じられた小人目付・射貫大伍、黒鍬者、伊賀者それに田沼意次も絡み隠密調査なので前途多難のようですね。新シリーズ次巻も楽しみです。 2022/10/19
kazukitti
6
新シリーズの1巻は毎度ながらの説明の多さも止む無し感はあるけど、ほぼほぼ状況とキャラ位置の説明に終始してる感は強いよね。ソコが上田さんの魅力でもあるけども。八代吉宗の聡四郎の後、左馬介の田沼時代があって、その後に奥祐筆の黒幕が一橋治済だから、そのほんのちょっと前くらいの設定なのかな。奥祐筆シリーズ開始のほんの数年前とか?作家読みしてると、そのくらいの情報のカブリが多いってことよね。まぁ、マルチバースではあっても、同一の上田神聖時間軸ではないwから、まぁアレなんだけども。2022/11/28
わたしは元気
5
新しいお話です。 面白い。楽しみです。2022/06/02
wang
3
新将軍となった家斉は傍系出身で若年、心から信頼できる人間は小笠原若狭守ただ一人。将軍の手足となる人物を登用するため信用できる旗本・譜代大名を探し出す役目を主人公が与えられる。射貫大伍は小人目付として隠密御用の経験もあり腕の立つのをたまたま若狭守に認められ、この役目を負うことになる。幕政の重要な役割を、身分の低い個人が担うことになる著者定番のスタイル。初っぱなから黒鍬者に個人的な恨みを買い、伊賀者や失脚した田沼意次を敵に回す。『土芥寇讎記』にヒントを得たという。またまた面白そうなシリーズの開幕。2022/08/18