出版社内容情報
死刑が廃止されてから28年後。日本に生存する最後の死刑囚・麻倉は、無人島だった離島に設けられた民間経営の刑務所内の特別拘置所で、刑を執行されることなく過ごしていた。
フリーライターの熊沢は、彼に関する本を執筆するため、麻倉本人からの指名を得て取材に向かう。
インタビューするうちに、麻倉が犯した数々の殺人事件に対して「彼らには死すべき理由があった。僕は審判なんだよ。人の命をジャッジする」とうそぶく本人の態度に、熊沢は激しい嫌悪感を抱く。
さらに驚いたことには、離島には麻倉に殺害された被害者の関係者が存在していた。また、離島にまつわる不気味な言い伝えを聞かされた熊沢は、この仕事の先にライターとしての成功を夢見ていた最初の気持ちが大きくぐらつくのを感じ始める。
そしてついに恐ろしい事件が起きた……。
読者の予想を覆す奇想ミステリーの問題作!
内容説明
死刑が廃止されてから二十八年。日本に生存する最後の死刑囚・麻倉玲一は、離島の特別拘置所に収監されていた。フリーライターの熊沢克也は、死刑囚の告白本を執筆するため取材に向かう。自分は「人の命をジャッジする」と嘯く麻倉。熊沢は激しい嫌悪感を抱くが、次々と語られる彼の犯した殺人は、驚くべきものばかりだった。そして遂に恐ろしい事件が起きた!衝撃の長篇ミステリー。
著者等紹介
太田忠司[オオタタダシ]
1959年愛知県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
74
帯の煽りが大袈裟だったので構えて読んでみました(笑)結末は思っていたのとは違いましたがびっくりするほどではなかったかな。短編で十分て感じです。2022/07/14
森オサム
67
徳間文庫大賞2022受賞作。徳間書店の気合を感じる書店での展開、派手な帯の煽りでハードルを上げ過ぎた結果、レビューを読めば、やや期待外れとの感想が目に付く。しかし個人的な感想としては、割と面白かったです。確かに突っ込めば切りが無い。無理の上に無理を重ねた設定、スッキリ騙されたと言うより、斜め下に降りて行く様なオチ…。なんだけど、今回は目くじら立てずに穏やかな気持ちで読めたなぁ。「メフィスト」に連載されながら講談社からは書籍化されなかった作品、読める事を喜ぼうでは有りませんか!、ハードルは上げずに穏やかに。2022/07/29
yukaring
64
「騙された~」と叫びたくなる読後感。タイトルも『信頼できない』、帯にも『驚愕のラスト』と予告してあるが、やっぱり騙されるのは私だけではないと思う。死刑が廃止された日本。最後の死刑囚・麻倉玲一を取材するために、彼が収監されている離島を訪れるライターの熊沢。穏やかで紳士然とした麻倉が15人を殺し、事件を淡々と物語のように語る様はまるでレクター博士のよう。巧みな語り口にグイグイ引き込まれるが、その後はまさかの想定外な事件の連続。全ての謎が氷解するラストは確に『そういうことだったの?』と驚く衝撃の結末だった。2022/07/07
えみ
59
細部まで作り込まれていて、たぶんその犯罪には100年経っても太刀打ちできない。死刑制度が廃止された日本の最後の死刑囚・麻倉玲一の告白。部屋中の温度が下がるような冷酷な犯罪に寒気がし、空気が薄くなったかのように息苦しくなる犯罪意識の皆無。そんな彼の、告白本執筆を依頼されたフリーライターの熊沢克也の恐怖体験はいかなるものか…考えただけでも震えがくる。なにより命と存在を弄ばれた彼は、不幸だ。数々の殺人事件を起こし多くの人を殺害してきた麻倉は、これまでの犯罪を揚々と語りだす。そして異変。衝撃のラストに目を見張る。2022/11/23
うまる
39
この国最後の死刑囚を取材する設定にワクドキ。ヤバい思想の人間に触れると、こっちもどうなるかわからないという不安がひしひしと伝わってきます。この感じは、特に第1章のイヤな感じは『死刑にいたる病』を思い出しました。終盤のえっどゆこと?!っていう展開からも楽しかったです。きちんとオチがつくのも〇。気楽に楽しめるミステリ・サスペンスだと思います。以上、信頼できないレビュアーがお伝えしました。2022/02/19