出版社内容情報
熊野の山奥に作られた秘密の野外美術館。そして若き天才美術家が見せる悪夢…。直木賞&本屋大賞ダブル受賞の著者の幻想ホラー!
内容説明
建築学部に通う大学生の平口捷は、姉と二人暮らしの平凡な生活を送っていた。そんな彼の前に若き天才美術家・烏山響一が同級生として現れる。カリスマ的な雰囲気があり取り巻きが絶えないが、なぜか響一の方から捷に近づいてくる。そして、届いた招待状。訪れた熊野の山奥には、密かに作られた野外美術館が…。奇怪な芸術作品は、見る者を悪夢に引きずり込む。幻想ホラー大作。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、『ユージニア』で日本推理作家協会賞、『中庭の出来事』で山本周五郎賞、『蜜蜂と遠雷』で直木賞と本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えにくす
92
SFホラー。若き天才美術家が熊野の山奥に作った、巨大な野外美術館。そこへ招かれる男女たち。それは恐るべきインスタレーションだった!怪物出現などのストレートな描写は無いが、物音や心理面などの恐怖を描いていて、読んでいて徐々に怖くなる。山に入る後半からは、一気に狂気の世界へ。熊野古道は信仰の対象で山伏たちの修行の場だから、霊的な力が強まるのか。『ご神体』の正体には驚いたが、ラストが呆気ない。蜂蜜や夜ピクなどの良作しか読んで無かったら、この作品は難しいだろう。恩田テイストの原点ともいえる、カルト的作品だ。2020/06/28
aoringo
86
死んだ人間の幻視をみる者、失踪した人物を追う婚約者、そして不思議な魅力を持つカリスマ青年。彼らが向かった先の山奥で起こった出来事とは。前半は中々物語が動かず退屈気味だったけど、山の中で幻のイメージに襲われる描写は生々しくて怖かった。最後はっきりしない所もあるのはいつもの事で、個人的にはこの作者さんの文章のするっと入ってくる感じが好きだ。2023/04/30
とろこ
65
この小説自体が一つの壮大なインスタレーションである。闇や醜さまでも内包した美。それに捕らえられた者は、果たして正気を保てるのだろうか。実際にこのような体験をしたら、私なら心を病むだろう。しかし、どうしようもなく人を惹きつけてやまない存在が時としてある。邪悪さや歪みと至上の愛。対極にあるようでいて、もしかすると、その二つはごく近しい関係にあるのかもしれない。567ページという長さだったが、飽きずに読ませてもらった。2020/11/29
野のこ
50
恩田陸さんのインスタレーションに引き込まれて想像力が膨らんで楽しかったです。ただ後半は太文字のところとか漫画っぽくて読む気が薄れてしまったのが残念。絵のなかに入っているところからホラー感はないけどa-haのTake On Me を思い出しました。2021/06/26
金吾
40
途中までは話の展開もいいため、グイグイひきこまれましたが、ラストはエッて感じでやや気持ちが沈みました。2023/01/01