出版社内容情報
貧乏神に取り憑かれ、絵師として食えない幸助。そんな彼の元に持ち込まれる事件を、貧乏神と小僧たちの手助けで、解決していく。
内容説明
大名家のお抱え絵師だった葛幸助は、今、大坂の福島羅漢まえにある「日暮らし長屋」に逼塞中だ。貧乏神と呼ばれ、筆作りの内職で糊口を凌ぐ日々。この暮らしは、部屋に掛かる絵に封じられた瘟鬼(厄病神)のせいらしいのだが、幸助は追い出そうともせず呑気に同居している。厄病神が次々呼び寄せる事件に、福の神と呼ばれる謎の若旦那や丁稚の亀吉とともに、幸助は朗らかに立ち向う。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、短篇「落花する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年『銀河帝国の弘法も筆の誤り』で第33回星雲賞日本短編部門、09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。ミステリー、ホラー、伝奇と様々なジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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タイ子
73
これぞ田中節。大坂を舞台にボケとツッコミの新喜劇ならぬ痛快人情噺。貧乏神と言っても神様ではなく、ホントに貧乏な筆作りで糊口を凌ぐ元絵師。そこに厄病神が住みついているものだから何かと厄災が降って来る。しかし、感心なのはこの貧乏な男は内職以外からは決してお金を受け取らないという矜持があるってこと。ひょんなことから大金持ちのお福旦那と知り合い、事件を解決していくのである。貧乏でも心が豊かであれば気にかけてくれる人がいる。情けは人のためならず。お福旦那は一体何者?謎を残したまま続くってか。楽しみ~!2019/10/22
はつばあば
55
久し振りの啓文さんです。ホラー・SF・推理と幅広く読ませてもらっています、がやっぱり大阪を土台にした本が私は好きです。大阪弁の亀吉に至っては、あんた丁稚辞めて漫才師か落語家せえへんかと言いたいところやけど江戸時代やしねぇ。貧乏神が自分の家から出て他の人に悪させんようにと留め置く度量!そりゃ福の神も寄ってきますわ。金!金!ゆうても持って死ねませんもんね。相当な貧乏でもどこかで帳尻を合わせてくれるのが人生。この本3冊のシリーズ物でした。続きが気になりますが、購入本が溜まっていますのでまずそちらから2023/06/22
真理そら
52
貧乏神も福の神も魅力的だけれど納豆嫌いの亀吉が可愛くて大好きだ。亀吉が大活躍?する「妖怪大豆男」に描かれている商家のささやかな日常(だろうかw)が楽しい。2019/09/11
reo
44
田中啓文氏初読み。第一話「貧乏神参上」第二話「天狗の鼻を折ってやれ」間に小編「妖怪大豆男」の連作短編集。謎解きも含めちょっとした探偵小説なのだが、どの作品も落語のネタをアンコにしながら、この上ない軽快さで繰り広げられる。「妖怪大豆男」は丁稚のご愛敬😆面白いですよ😄2022/07/19
タツ フカガワ
43
大名のお抱え絵師を失職し、いまは長屋で貧乏神と呼ばれる葛幸助が、正体不明の分限者で福の神といわれるお福旦那とともに事件を解決する3話連作。作者の時代小説での個性的なキャラクターたちのやりとりから生まれる可笑しみを期待しましたが、それは少々薄かったかも。2020/11/07
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