出版社内容情報
奇才・筒井康隆のたくらみに満ちた、実験的作品集。
内容説明
筒井康隆の世紀の奇書が“定本”として三十七年ぶりに復刊!“ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み…”ジャズ・スキャットで使われるバブリングを駆使し、奇想天外なパロディ聖書として読書界を驚倒させた表題作ほか、初刊文庫で未収録だった実験作品「上下左右」(イラストは雑誌掲載時の真鍋博)を収録した完全版。書下しの自作解説を併録。全十篇。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年大阪市生まれ。同志社大学卒。展示装飾を専門とする会社を経て、デザインスタジオを設立。60年SF同人誌「NULL」を創刊。81年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、87年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、89年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、92年『朝のガスパール』で日本SF大賞、2010年菊池寛賞、2017年『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。2002年に紫綬褒章を受章。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セシルの夕陽
44
Kindlで。まぁー、ぶっ飛んでます(笑) 文庫化は1982年、そこから37年経った2019年に復刊した本帯には『奇書 復刊』とあるようです。さすが天才奇才、筒井康隆氏! SF、ミステリーホラーに加え、百人一首のパロディや言葉遊び、シナリオ、小説の枠を超えた作品と、バラエティに富んだ10話。そんな中に社会風刺も忍ばせてあり、とにかく驚きの連続作品でした! 中学生時代『家族百景』『七瀬ふたたび』をドラマと本でハマってたことを懐かしく…美しく初々しい多岐川裕美版です😅2021/07/30
おにく
28
"バブリング創世記"は「シャバドビからシャバドビアが生まれ、シャバダが誕生…。」こんなやり取りが延々と続き、これらをリズミカルに読むと「シャバドビ♪シャバドビ♪シャバドビア♪」と脳内でリズムが奏でられるという。何か面白い事をしてやろうという作者の思惑が感じられます。また当時の社会を風刺した内容が多く、特に"死にかた"は、鬼が社内に入り込み、社員を一人ずつ血祭りにあげるという不条理モノですが、上司がこの状況下でも部下に責任をなすりつけるという、人間の本性、社会の理不尽さが感じられ、思わず唸らせられました。 2020/04/12
田氏
23
筒井康隆は、読み手をコケにした作品であればあるほど面白い。聖書をパロって音声と意味とを交錯させつつモーフィングしていく表題作。ジョルジュ・ペレックよりも先にアパートメントの断面のマトリックスを小説にした『上下左右』。ご存知ベラルゴしたロチャニを巡る『発明後のパターン』。こんなん立て続けに読まされたら、おれロレバコっちまうぜ。ツツイストからすれば、世の空気感をぶちこわすべく社会風刺の効いたSF作こそが真髄なのかもしれないが、私はアホなので、わかりやすくコケにされたほうが素直にアヘ顔で涎を垂らせられるのです。2019/12/16
阿部義彦
20
若い頃の筒井康隆の破壊力はやはり、半端ないですね。どれも過去には読んだはずでしたが、復刻してくれた徳間文庫には感謝したいです。今回はとくに、「鍵」が素晴らしかったです。「夢の木坂分岐点」の源泉がこれだったのかな?とも思える出来でした。そして、エログロホラーの「三人娘」久々にイヤーな気分になりました。女の敵は女ですか。今の時代なら自粛するやばい言葉満載。ちぎっては投げ!という感じのバイタリティ溢れる筒井節を堪能しました。「上下左右」は文庫では初収録です。毒満載。2020/02/01
Porco
19
政治批判やブラックな話題も出しつつ、話はちゃんと面白いのが筒井康隆の良さだ。【ヒノマル酒場】,【廃塾令】この二つがやはり読みやすく読んでいて楽しくなる。2025/02/01