出版社内容情報
藤田・小池の直木賞カップルに平山・佐藤・呉の新旧大藪賞。その他の気鋭の脇を皆川・帚木という大御所が固める豪華アンソロジー
内容説明
確かに戦争はなかったけれど、平成は泰平の世だったわけではない。技術革新の急流にもまれ、度重なる災害にもみまわれ、人が見失ってしまったものも多い。そんな人間たちが何を失い何をしでかしてきたのか。時代を敏感に嗅ぎ分ける小説家は、そこをえぐいまでに切り取る。描き出されるのは良くも悪くも同時代に生きる我々自身の姿そのものなのだ。突きつけられる姿は善か悪か美か醜か。(年度代表18人によるアンソロジー)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
様々なジャンルの小説がおさめられたアンソロジーでした。同年代を生きる私たちそのものが描かれているように思います。平成から令和へ。今後はどのような物語が紡がれていくのでしょう。2021/07/17
アーちゃん
34
図書館本。総勢18人の作家さんが2018年に発表した短篇集。嬉しいのは各短篇の末尾に初出の記載がある事と、解説がきちんと前年度(2018年)を総括していてかつ各作品についても丁寧に書いてある事。新旧問わず初めて読む作家さんが大半で、自分の読書範囲の狭さを感じたりもしたけれど、それ以上に読んでみたい作家さんが増えたのは収穫かも。朝井リョウさん、嶋津輝さん、朝倉宏景さん、小池真理子さん、帚木蓬生さんが良かったです。特に帚木さん「胎を堕ろす」はショッキングな内容だけど実際にあった事。考えさせられる作品でした。2019/09/04
空猫
31
18人の有名な賞を受けた作家達のアンソロジー。ミステリ、人間ドラマ、SF、ホラー、グロ...とビュッフェの様。初読みだった作家サンでお気に入りは、SNSを利用した今どきのポップなミステリ、青崎有吾サン『時計にまつわるいくつかのウソ』。若い時にしか出来ない事がある、朝倉宏景サン『代打、あたし』。タイムマシンは実在したか、小川哲サン『魔術師』。戦争の被害はいつも弱い者へと向かう、帚木蓬生サン『胎を堕ろす』。おかげで読みたい本が増えてしまった。平凡な会社員が自首しに来た、『守株』米澤穂信サンは流石だった。2024/01/24
みなみ
24
2019年に発表された18人のアンソロジー。面白かったのは、朝井リョウさんの「どうしても生きてる」、朝倉宏景さんの「代打、あたし」、長岡弘樹さんの「傷跡の行方」、米澤穂信さんの「守株」。ただ、意味が読み取れなかったものもあり、差が大きかった。朝井リョウさんはタイトルどおり、生きづらい世の中で必死に働いている非正規雇用の女性を描いて、とてもリアルだと感じた。生き抜くために色んなことを求められる世の中だからこそ、のんびり読書する時間も大切にしたい。2022/03/11
katsubek
24
タイトル通り、短篇集である。少々暗い話が多いというのは思い過ごしであろうか。ミステリーが多いということから、そう思うのかも知れない。朝井リョウのうまさが目を引く。また、「代打、あたし。」は趣向が面白かった。「魔術師」も興味深く読めた。あといくつかの作はまずまず楽しめるものであった。多くの作品を読めるのだが、「お得感」がもう一つ感ぜられぬのは、玉石混淆というところからか。「ベスト」ならば、もう少し絞り込んで、本を軽くするのも一つのアイデアと思わせる。2020/09/21