出版社内容情報
号泣必至!度胸と才覚、女の一代記。ビジネス成功譚としても出色の時代長篇。「兄さんのため江戸一番の店にする」少女は誓った。
内容説明
十一歳のおけいは泣きながら走っていた。日本橋通旅籠町の太物問屋・巴屋の長女だが、母は美しい次女のみを溺愛。おけいには理不尽に辛くあたって、打擲したのだ。そのとき隣家の小間物問屋の放蕩息子・仙太郎が通りかかり、おけいを慰め、螺鈿細工の櫛をくれた。その日から仙太郎のため巴屋を江戸一番の店にすると決意。度胸と才覚のみを武器に大店に育てた女の一代記。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。シナリオ研究所で学び、二時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しつつ、小説を書く。新鷹会会員。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。「食堂のおばちゃん作家」として話題になるが、その後専業作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
78
江戸の太物問屋を支える女主人の物語と言えば、「あきない正傳」を思い出す作品ではあるが、似通っているところもありながらこれはこれで大いに楽しめる。幼少の頃、実の母親から辛く当たられ美貌の次女と差をつけられて育ったおけい。だが、太物問屋を営む父親はそんなおけいを不憫がり店の後継者として育てていく。隣の住む兄と慕う仙太郎への想いが恋に変わる頃、仙太郎は家を出奔。渡された櫛だけがおけいの生きがいとなる。父亡きあと、商売のアイデアが当たり大店へと変貌。妹の人生、おけいの生き様、終盤で驚きの展開。女も母も強し物語。2023/07/26
優希
42
強い芯のある女性の一代記でした。色々大変なことがあろうとも、巴屋を江戸一番の店にしようと奮闘する姿に惹かれます。2023/11/14
蒼
26
面白かった。手堅い商売をする太物問屋の娘おけいが、実母からの理不尽な虐待を受けながらも幼い初恋相手仙兄さんのために、度胸と才覚で江戸一の大店に育て上げる物語。「苦労ってぇやつはそれを背負えるだけの強えもんの肩に掛かってくる」仙兄さんからかけられた言葉を糧に、両替商や武家と渡り合うおけいに何か大きな落とし穴が待ち受けているのでは無いかと、ハラハラしながらページをめくる手が止まらない読書だった。食堂のおばちゃんの作者の時代小説は、とても面白かったです。2019/07/20
ドナルド@灯れ松明の火
18
山口さんが時代小説も書いていることを知って手に取った。上手だな。非常に読み易くびっくりした。女性時代小説作家として大いに期待する。 お薦め2018/02/06
ゆき
10
女性が困難に負けず店を大きくして発展させていくという単純なお話なのですが、どうしてこれがなかなか面白くて一揆読み。応援したくなっちゃうんですよね!2018/05/17