出版社内容情報
「あなたは一体、誰?」優しい恋人は名前も経歴もすべてが嘘だった。正体を探る唯一の手がかりは、彼の残した書きかけの小説―。
内容説明
大手食品メーカーに勤める由加利は、研究医で優しい恋人・桔平と同棲5年目を迎えていた。ある日、桔平が倒れて意識不明になると、彼の職業はおろか名前すら、すべてが偽りのものだったことが判明する。「あなたはいったい誰?」由加利は唯一の手がかりとなる桔平の書きかけの小説を携え、彼の正体を探る旅に出る。彼はなぜ素性を隠し、彼女を騙していたのか。すべてを失った果てに知る真実の愛とは―。もうひとつのラストに涙する、小説版「嘘愛」。
著者等紹介
岡部えつ[オカベエツ]
1964年大阪府生まれ、群馬県育ち。2008年に第3回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞、翌年、受賞作を表題とした短篇集『枯骨の恋』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
246
今、映画化されている話題の一冊。映画ももちろん観てきました。もう少し、小出の過去に事件性のあるミステリー・サスペンスを予想していましたが、落とし所はちょっと違いました。でも、最後はホロリとさせるラブ・ストーリー。映画のキャスティングも長澤さんの由加利、一生さんの小出、吉田さんの海原と、あまりにピッタリで面白かったです。 知らなければ、知らなくてよいもの…。 知らなければ、幸せだったもの…。 世の中には、きっとそういう人の業や秘密って、実際にも沢山あるのかもしれませんね。2018/01/28
さてさて
233
『身元不明人。それが、五年もの間ひとつ屋根の下で共に暮らしてきた恋人であることが、信じられなかった』。『くも膜下出血』で意識不明となった同棲中の恋人に隠された謎を追い求める主人公の由加利。この作品には、そんな由加利の行動の先に徐々に浮かび上がってくる真実が、巧みな構成の下に描かれていました。30年以上も前に現実にあったことという事実の重さを思うこの作品。”小説内小説”の存在が物語に奥行きをぐんと与えてくれる絶妙な構成のこの作品。「嘘を愛する女」という書名に込められた深い思いにも感じ入る、そんな作品でした。2025/06/08
やっさん
226
★★ 同僚から拝借。単刀直入に言ってイマイチ。桔平の郷里を探す場面から一気に物語が動くけど、さほどスリルのある展開や驚くべき事実もないまま、結尾を迎える。ただ、P.95で一人称が変わる瞬間には心躍った。2018/02/26
yoshida
215
待合せに現れなかった同棲相手は、くも膜下出血で病院に搬送されていた。意識が戻らない同棲相手。5年間同棲していた相手は実在せず、興信所にも依頼し相手の正体と動機を探し始める。そこで行き着いた事件は、子育てを抱え込まざるを得なかった妻の哀しさと、妻に悩みを話し出せない空気感を作ったことに気付いた夫の罪悪感と絶望だった。その状況にならないと分からないが、逃げてはいけないと思った。そこを償わずに終章のような夢を描くことは許されないだろう。同棲相手のルーツが余りにも早く判明し鼻白む。もう少し物語に重みが欲しかった。2018/02/16
ケンイチミズバ
209
同僚にバツイチで懲りた才女がいる。彼女は入籍せず新しいパートナーと暮らしている。作品を読んで、少しだけ心配になった。おせっかいだな。重篤な状態に陥った桔平の手術やケアについて医師からのインフォームドコンセプトを承諾するも何も親族でもなく同棲中の由加利にその資格はない。彼は両親を亡くし親戚の所在も不明で、彼女の落胆に追い打ちをかけることが始まる。植物状態の彼を支える必要はない、他人だと割り切るよう親友はアドバイスします。結婚していれば、していなくてよかったのか、後悔と心の揺らぎ。そして彼は本当は誰なのか。2017/12/08
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