出版社内容情報
“全企業人、ビジネスマン必読の時代小説!”大藪春彦表受賞作。直木賞候補ともなり、平成の藤沢周平と、縄田一男氏は命名した。
内容説明
どの藩の経済も傾いてきた宝暦八年、奥脇抄一郎は江戸で表向きは万年青売りの浪人、実は藩札の万指南である。戦のないこの時代、最大の敵は貧しさ。飢饉になると人が死ぬ。各藩の問題解決に手を貸し、経験を積み重ねるうちに、藩札で藩経済そのものを立て直す仕法を摸索し始めた。その矢先、ある最貧小藩から依頼が舞い込む。剣が役に立たない時代、武家はどういきるべきか!?
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
149
直木賞受賞作『つまをめとらば』に続いて 、青山文平2作目です。本作は気になっていたのですが、読むタイミングを逸して、今回文庫化でようやく読めました。表紙とタイトルから想定していた内容と異なり、時代地方経済再生ハードボイルドといった感じです。直木賞候補作&大藪晴彦賞受賞も伊達ではありません。直木賞受賞作『つまをめとらば』よりもレベルは上かも知れません。2017/12/07
タイ子
94
侍の世界に経済をプラスした作品。戦のない時代、経済がひっ迫する中で藩札を発行し、立て直しを図った男・抄一郎。世話役亡き後指南役となったが上役のやり方に反発し、脱藩する。江戸に出た抄一郎の藩札の評判を聞きつけた北国の某藩から飢饉を救ってくれとの依頼が。途中まで退屈気味なところがあるものの、藩の立て直しからぐっと引き込まれていく。自分の藩を救うため、心を鬼にして向かう清明の気迫がスゴイ。抄一郎の助言と清明の命がけの立て直しは成功。だが、清明が心に誓っていた思いとは…。涙のラスト。2021/09/05
キムチ
64
表紙にピンときてチョイス。想定内容と異なり 途中まで筋の運びが散発的な事もあり読む気が削がれたのは残念。万年青売りの看板を上げつつ抄一郎は今でいうコンサル業。江戸期に設定した経済小説というのがユニークだ。関わる北国の小藩、窓口にいる清明の考えや行動に心惹かれて行く。心に刃を飲む如く,鬼と化す清明。装丁のすさまじさが筆者の言わんとする核心だろう。その心の奥にある男女の心情にある綴れ織りの解釈に納得を抱けなかった。男が読むのと女が読む違いか?敬愛する周五郎、周平ものに表れる女性の描き方が好みというせいかも2023/09/13
goro@the_booby
58
これは「覚悟」の物語でありました。北国にある赤貧にあえぐ藩を立ち直させるため藩札に賭ける執政梶原清明。藩札では痛い思いをした奥脇抄一郎に指南役を頼む。武士であるがゆえの覚悟を持って仕法を変えて行く。政を行う人には責任と覚悟を持って欲しいしどこかの国の先生方に読ませたい。経済小説でもあるけどこれが大藪春彦賞を受賞している。信念の男達の物語だった。2018/11/08
財布にジャック
48
私が男だったら、もっと物語に入り込めたのかもしれません。時代物で且つ経済が題材だったので、少しばかりハードルが高くて、読むのに苦戦しました。しかし、読み終えてみれば、鬼はもとよりの題名がじーんと来ました。この作家さんの他の作品もかなり気になります。2019/02/13