内容説明
京都所司代が二代続けて頓死した。不審に思った九代将軍家重は大岡出雲守忠光を通じ、三田村元八郎に背後関係を探るよう命じる。一方、田沼主殿頭意次は新たな京都所司代・酒井讃岐守忠用から“包み”を受け取るべく京に伊賀者を放った。包みの謎を巡り、伊賀者、修験者、そして黄泉の醜女と名乗る幻術遣いが入り乱れる。終わりなき死闘。元八郎に勝機は?やがて驚愕の真相が明らかに―。
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年、大阪府生まれ。大阪歯科大学卒業。現在、大阪府下にて歯科医院を開業。97年に「身代わり吉右衛門」で桃園書房主催第20回小説クラブ新人賞佳作、2010年に『孤闘立花宗茂』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オーウェン
43
いよいよクライマックスに近づいてきたシリーズ5作目。 京都所司代の殺しと、田沼意次が届けた包みの秘密。 任を命じられた元八郎は京へ向かうが、そこには黄泉の醜女の異名を持つ幻術遣いが立ちはだかる。 元八郎の宝蔵院流は1対多数に向いてないと言われていたが、大師匠の隠珀によって修行をして強くなる過程。 そして元八郎に部下を殺されていった伊賀組も最後の時を迎える。 そして最後に明かされる徳川家の秘密。 歴史改編とでもいわんばかりの事実だが、次のラストの巻でどう決着をつけるのだろうか。2023/06/13
はかり
14
シリーズ5巻目読了。今回は舞台を京に移す。題名にもある風雅とは朝廷との関わりか。それにしても、黄泉の醜女とか、呪詛の宮という想像を超える存在が出てくる。これがとてもなく強い。遠く信長の時代から朝廷を裏で支える存在があったとは。上田の想像力はとてつもない。2021/03/17
ひかつば@呑ん読会堪能中
6
将軍の「耳」となる元八郎の第5弾は京都所司代が2人続けて亡くなった背景を探る話。命を受けるやいなや「黄泉の醜女」という恐ろしい敵に襲われ、例によって宿敵の伊賀者にも狙われながら孤独な戦いを繰り広げる。今回、新たに元八郎の剣の大師匠が登場し、厳しい指導を受けて一段と強くなった元八郎だが、敵はやたら強い。将軍の行列を襲うくらい朝飯前という設定や、結末の新解釈にはチト驚き?があったが、まぁ楽しませてもらったから良しとしよう。大師匠は亡くなった親父代わりとして今後も出続けるといいな。2012/12/22
わたしは元気
3
なんだか、人がたくさん死んで疲れますね。2021/06/12
wang
2
もはや通常の侍や忍者では何人がかりでも敵うことが不可能になったスーパー剣士が主人公。今回の相手は黄泉の醜女と呼ばれる闇の鬼や鞍馬の天狗など、人知を超えた存在。気配を完全に消して一瞬に数人を屠る恐るべき敵。何度も危機に陥りながら、敵の恐ろしさを知った元八郎は山に隠り修行を重ねてさらに強く成長することとなる。戦闘シーン満載。もうリアリティも何も関係ない。スーパーマンのようにただただ戦いを盛り上げる作品と思えば楽しい。作者の他作品と違い江戸幕府の裏を覗いているような現実感はない。2013/09/12