内容説明
「あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます」。携帯で発見したアヤシイ広告にためらいを覚えつつ、オフィスCATに電話する女性が後を絶たないのは抜き差しならない理由があるから。DV男から逃れるため、恋人の心を傷つけずに別れるため、そしてもう一度「本当の彼」のところに帰るため…。成功率100%の強奪屋こと泥棒猫ヒナコが今日もそっと、あなたの事件を解決します。
著者等紹介
永嶋恵美[ナガシマエミ]
1964年、福岡県生まれ。広島大学文学部哲学科卒。『転落』『W 二つの夏』などの仕掛けに満ちたサスペンスの数々で評論家、読者から高い評価を獲得、現在ブレイク中の作家。映島巡(えいしまじゅん)名義で1994年、『ZERO』で第4回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
99
猫が鳴く、鳥が啼く、誰かが泣いている。ずっと好きなままじゃいられない、猫の目みたく移ろう心。夜の闇より暗くて重い恋の泥沼、這い上がりたくて借りる猫の手。職種違いのすれ違いにつけ込む女狐、安心感に胡坐をかいて見失った恋心、逆境に耐えられず愛情は暴力へと変わる。容易く断ち切れない感情のもつれの隙間をしなやかにすり抜ける影。ベタな出会いとお芝居で揺さぶられるのは標的?それとも依頼主?変幻自在の瞳の奥に幽かに覗く痛みの記憶。知っているから、似てるから、優しくなれる。あなたの未練の涙ごと、強奪させていただきます。 2013/01/13
hirune
84
最終話でリスカ癖のある一人じゃ到底生きていけそうになく見える挫折した女の子が、ドロボウ猫見習いとしてスカウトされ鍛えられてギャグタッチになっちゃってるのが二話目の楓ちゃん?明るくなって…まぁちょっとだけ頼もしくなったから良かったのかな^^;でも結局本名は明かされないのね。今回も最悪な男や自分の迷う心や何やかやからヒナコさんが女性を救ってくれます。しかし男も女も浮気癖は治らないようだ。ヒナコさんたちの仕事は絶えませんね。2016/04/09
*すずらん*
57
期待を裏切らない2作目!続き物でこんなにハマった作目はありません!!どのお話も完成度が高く、一つ事件が解決する度に「読み終えたくないな」とページをめくる手が鈍りました。前作に登場した 見習いの楓の過去も描かれていて大満足。家裁の陽子さんやヒナコの過去にも少しだけ触れていて、自作に期待!読み易いのに、話の筋がしっかり通っていてお見事です。章題の付け方にも、すごくセンスを感じます。こういう本に出会えるから読書は止められない!そう思わせてくれた一冊です。早く続きが読みたーい☆2013/03/08
したっぱ店員
53
うーんこれ好きだわ。感動すら覚える、水際立った雛子さんの手腕はもちろん、顧客となった女子たちの潔さやしたたかさも面白く、気持ちよい後味。フィリピーナの話はちょっと重くリアルで考えさせられたけど・・。楓ちゃんの過去が分かったのだけど、期待してた雛子さんのがまだなので、これは続編出るってことだと勝手に期待。楽しみです!2011/11/20
nyanco
47
待望のシリーズ化!!とっても嬉しい反面、レベルダウンしていたら…と心配したのですが、やっぱり面白かった!まず、「宵闇キャットファイト」で、ヒナコさんの相変わらずの仕事っぷりを堪能。楓の友人のナイチンゲールの話も良かった。最後の切手が効いてます。DV夫を持つフィリピーナの話など、同性としてつらい話もあるんだけど、女性だからこそ…のところが実に巧いです。でも、ヒナコさん、あまりにも体はり過ぎで心配です。最後の話、元恋人の名前・ユッコちゃんと呼ばれていた彼女は…ああ、凄い。シリーズの続きに期待しています。2011/10/21