内容説明
貞元二十年(西暦八〇四年)。遣唐使として橘逸勢らとともに入唐した若き留学僧・空海。洛陽での道士・丹翁との邂逅を経て長安に入った彼らは、皇帝の死を予言する猫の妖物に接触することとなる。憑依された役人・劉はすでに正気を失っていたが、空海は、青龍寺の僧とともに悪い気を落とし、事の次第を聞くことになった。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、神奈川県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。77年、「カエルの死」で作家デビュー。『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』『陰陽師』など、多くの人気シリーズを持つ。89年、『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞受賞。98年、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
142
……ふぐっ、ぉぉぉ面白いっ♡♡ 大学生の頃京極堂シリーズ1巻読み終わって残りの巻が待ちきれず、夜中に自転車を飛ばしたことを思い出します。なぜ、なぜ2巻を手元に準備しておかなかったのか…大人だから週末まで我慢( ´^`° ) 今のところ「空海が主人公のスペクタクルミステリー、どきっ♡異能もあるよ」って感じです。空海の親友、橘逸勢がかわいい。夢枕獏ブームの予感。(読み終わった直後の興奮の為文章おかしいですごめんなさい)2020/07/01
ntahima
55
『空海の風景』と『餓狼伝』は我が偏愛の書。司馬遼太郎は終生、格闘小説を書かなかったが、夢枕獏は空海を描いた。司馬遼とはまったく異なった書き手である夢獏が空海という日本史における突然変異とも言える孤高の天才をどう描くが興味を持って読む。空海の前半生を省略して物語はいきなり唐の国にて幕を開ける。スーパーバイオレンス伝奇の巨匠が描いたにも関わらず空海が爽やかな青年なのが少し意外。『風景』の空海はもっといかがわしさに満ちていた。脇役が自己増殖して収拾がつかなくなるのが夢獏。はてさて空海は唐の都でどうなることやら。2010/08/29
キムチ
49
筆者独特のリズミカルなセンテンスが実に読みやすく、とんとこ進む。4巻からなる大作、各冊分厚いが、楽しい。胸に一物ならぬ密を抱く空海と秀才臭ぷんぷんの逸勢。いい味のコンビが唐の都に留学生として乗り込み、教本の盗に挑む。陰陽師シリーズと類似と言えなくもないが、こういった展開は大好き。内容的には梵字の説明やら、仏典の中身をかみ砕いた箇所など難解だし、歴史的信憑性など云々する向きもあるだろうが、そ~んなんどうでもええ。シルクロードの各地から集合離散した輩、文明、ごっちゃ煮状態での快刀乱麻なんだ!2017/01/19
どぶねずみ
38
今から1200年も前のことは想像するのも難しいが、遣唐使として留学した空海の話だ。空海の身の回りに妖怪が現れたり、少しファンタジー要素もあって、あっという間に楽しく読める。これは4巻中の1巻目なので、楽しさもまだまだ序の口に違いない。以前から御経に興味があったが、御経の解説が所々に出てくるのが嬉しい。人としての教えを御経から学べそうな気がする。2018/03/25
アイゼナハ@灯れ松明の火
26
空海と橘逸勢(たちばなのはやなり)の関係が、清明と博雅の関係に少し似ていて読みやすい。密教の奥義を学ぶ(盗む?)ため、遣唐使の留学生として派遣された国際都市長安で、起こりつつある怪異に空海が挑む!・・・と言っても1巻はまだまだプロローグ。次を読まねば。2010/07/18