内容説明
「荘子の毒にあてられた」と魯迅は表現した。荘子は用い方によって、ひとを活かしも殺しもする毒薬に等しい―。この世の中に、確かなものなどなにひとつありはしない。だからこそ、可能性は無限大なのだ。荘子にいざなわれて、さまざまなとらわれからおのれを解き放ち、現実と向き合う。それを新たなる価値創造とするか否かは読むものの自由だ。
目次
逍遙遊
斉物論
養生主
人間世
徳充符
大宗師
応帝王
外篇
雑篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
5
最初に荘子全体の解説や時代背景がありその後主要なところを口語文で説明してくれています。そして白文が上段に読み下し分が下段に書いてあります。読んでみると荘子は、どちらかというと論語や、孟子に比較して教育的なことが少ないという感じです。あるがままの状態を受け入れてなるようになってもそれが自然の状態だという感じです。2013/09/06
yuki
3
荘子の思想は、実に内観的で、それ故に実在的だ。ヨーロッパ形而上学を「暴いた」ハイデガーが老荘思想に興味を抱き、また思想的近親性も見受けられるというのは面白い自体である。荘子は現実の差別相を相対化させようとするが、まず我々の現実は作為的に構成されているという事を前提認識していなければならない。真に実在するものは、夢と現実、私と蝶、それらの分別を受けていないものなのかもしれぬ。また、西田幾多郎が言うように倫理は実在の根本より来ねばならない。その時、道の思想というのは事実にして理想である。そこに分別はない。
テツ
3
『胡蝶の夢』ばかり有名だが、彼の真に語りたかったのは恐らく『道』についてだったと思う。彼は夢を語り夢に遊ぶが、それに逃避することはない。「現象界の差別と対立の相にとらわれぬ人間、つまりあたえられた現実の中に生きて、しかもその現実にとらわれぬ自在な精神の持主こそ、真に自由な人間であると考えられた」 自由という言葉、概念は重要な価値ある物だが、軽々しく口から出す前に(特にモラトリアム期間な少年少女らは)先人の説いた自由について学ぶのも良いかもしれない。2012/03/14
yoshi41101
3
色々学ぶところが多い。どうにもならないことには受け入れるがいいというところとか。あとこの言葉はとても心に残った→「仲尼曰く「是非の別を立てて他を非難するよりは、笑ってこれを許すがよい。笑って他を許すよりは、自他の別を捨てて自然の変化に身をまかせるがよい。変化すらも忘れ去ったときこそ、あらゆる対立を超えた『道』とひとつになれるのだ。」(大宗師:目覚めた人間)」2009/11/21