内容説明
許せ。それは内匠頭が告げた訣別の呟きであった。殿中松の廊下、内匠頭は愛しい者や愛する古里すべてを備前長船一尺七寸の業物にかけて捨て去った。「上野介、待て!」―構想十余年、著者の忠臣蔵は絢爛たる人間蔵ドラマとして描かれた。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナハチガル
17
著者の訃報に接して手に取ってみたのだが、面白い!ぼぼ人生初の『忠臣蔵』で、「殿中でござる!」(たぶんドリフのコント)と、雪夜の討ち入り(たぶん里見浩太朗?)くらいしか知らなかったのだが、こんなにも豊かな物語群だったとは。どこかの外国の日本研究者が「寄ったかって老人を惨殺する話の何がいいのか」などと言っていたが、こんなにも日本人の琴線に引っかかりまくる物語だったとは。あまり読まれていないようなのは、舞台や映像作品で消費されているからなのか、他に小説版のスタンダードがあるからなのか。ともあれ下巻も楽しみ。A+2023/10/24
TAKA
9
森村誠一著 忠臣蔵(上巻)読了。 殿中松の廊下、播州赤穂城主浅野内匠頭が万感の思いのもと、高家筆頭吉良上野介に放った備前長船一尺七寸業物の一振りにより、かの有名な『忠臣蔵』の火蓋が切られた。 1702年、元禄15年12月14日寅の上刻、赤穂浅野筆頭家老大石内蔵助率いる赤穂浪士四十七士は雪が深々と降り積もる中、亡君の怨みを晴らすため吉良邸に推参した。 上巻では赤穂浪士各々の心情が丁寧に書かれており、物語に深みを醸しだしていた。 元禄期当時の時代背景の記述もあり、勉強になった。 下巻に続く・・・。 2014/12/13
gushwell
2
紀伊国屋書店の電子書籍を購入して読みました。読みたくてもなかなか手に入らなくてあきらめていたのですが、電子書籍で出るとは。紀伊国屋書店に感謝です。 文庫分だと700ページもあったんですね。なかなか読み終わらないはずです。 いろんな人間ドラマがあって面白かったです。下巻も楽しみです。2012/12/20
デルタアイ
1
500ページ越え しかも上巻でまだ討ち入りしてない 元禄という時代、泰平が続く世の中での独裁制、武士の在り方 バックグラウンドから淺野、吉良を取り巻く周りの人々まで これは余程に下調べしてるな ちょいちょいフィクションも入りつつこっから下巻への盛り上がりに期待値大 ☆8.92024/09/13
さな
1
ドラマもあまり見ないので、忠臣蔵について知っていることといえばほとんどなく、一度しっかりと話を知りたいと思って手に取った。「忠臣」というからにはさぞ主従は仲がよかったのだろうなと思いきや、「剃りが合わなかった」とはっきり書いてあったり、思いもかけない展開に次々読み進んだ。ページ数が多いので読み通すには体力が必要だが、1年余りの事件のなかで起きた多数の人間の有り様と見ればこれでも絞り込まれたものであろう。下巻はいよいよ討ち入りである。楽しみだ。2020/05/24