内容説明
寺社奉行の支配下、古書画鑑定を業とする古筆見の了延は、京の寺宝御開帳へ出かけるたびに、憑かれたように書画に見入る若者の姿が気になった。書画にどうしようもなく魅かれるというその若者・平蔵の才能を見て取った了延は、内弟子にすることに。了延のもとで平蔵はその才能を開花させ始めるが…。京を舞台に、美に生きる人間模様を描いた表題作他、漂泊の武士を哀感豊かに描く「天路の枕」を併録。
感想・レビュー
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きくちゃん
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かなり前に読んだ「霧の罠」面白かった印象があり関連物を探していたが、これが真贋シリーズの最初の作品と聞く。単行本として上梓したのち文庫本化するに当たり真贋控帳として改題したものだそうがが、確かに収録されている二作品のうち「天路の枕」は真贋モノとしてはかなりそぐわないような展開・・とは言え京都の文化と芸術に造詣の深い筆者ならではの作品である。現代ではテレビ東京の人気番組にも繋がる古筆見という特殊な職業は江戸時代の鑑定人であり、時代を超えて共感する。折しもご息女が直木賞を受賞。こちらの作家にも注目です。2021/07/14