内容説明
千切良十内、六十一歳の老十五屋。五、六、四を足すと十五になるのを掛けた殺し屋の俗称だ。二十三年前まで常陸国麻生藩二万三千石、新庄直矩の家臣だった十内だが、喧嘩で人を斬り、脱藩。江戸で餓死寸前に拾われて殺し稼業に入って以来、馬針を使った手練の技で、なんとか生き延びている。今度の依頼は、本所の石原町に住む二百石の旗本だ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
0
千切良十内の3作目。前作のみが長編の体裁で、一作目と本作は連作短編になっている。本作は前作の内容を踏襲していないので、話の整合しない部分もあるがご愛敬。目次が9つあり、殺しはその数以上となる。勧善懲悪とは無縁の殺しだが、さすがに女を手に掛けるのは気が重い。ウラを探るのは掟破りだが、片足の入った老境、殺しのために奮起する理由は必要だ。著者峰氏の作品群の中でも、血を見ない異色の本シリーズ、あと一冊。もっと書いて欲しかった。では、馬針が相手の腹に無痛で吸い込まれて行き、そして3日目に死ぬ。★★★★☆☆2011/10/04