内容説明
享保の世、貧窮にあえぐ武士たちを尻目に、豪商たちの勢いはとどまるところを知らなかった。特に上方で大名貸しを行う鴻池一族は、全国五十四家の大名を経済的に支配し、「銭」の力で天下を獲らんとしていた。鴻池の野望を食い止めよ！幕府の密命を受け、秘密与力・檜十蔵は大坂へ向かう。たちまち十蔵に襲いかかる鴻池の傭兵たち。棒が唸り、石つぶてが飛ぶ…。
感想・レビュー
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おぎにゃん
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江戸幕府 vs 一商人の闘い。と聞けば、商人に勝ち目はないと思うだろうが、さにあらず。相手が日本の経済を牛耳っている勢力だけに、幕府や諸藩による政治的圧力も武力も役に立たない。さらには禁裏までも敵に回って四面楚歌。読んでいて全く先が見通せなかったが、時代小説に対する読者の先入観を逆手にとった逆転劇には、度肝を抜かれた。ありきたりの｢幕府=正義｣｢鴻池=悪｣の図式ではないところも良かった。傑作です。2013/09/19
