内容説明
貧しい黒人のために活動していたシスター・ヘレンは知人から死刑囚との文通を持ちかけられる。その死刑囚、パトリック・ソニアは若いカップルの女性を強姦したうえに二人を殺害していた。文通をきっかけに面会を重ね、彼の命を救おうと奔走するが、パトリックは電気椅子に送られてしまう。死刑制度のもつ困難な問題に直面しながらも、ヘレンは死刑囚と被害者の家族の救済に取り組んでいく。感動の映画原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chie
15
死刑囚の精神的アドバイザーとなった修道女の手記。被害者や被害者家族の思いを自分のことの様に感じつつ、死刑囚と関わっていくことの、引き裂かれる様な痛みが伝わってくる。そして、死刑制度のずさんさ。私は死刑反対とまでは思えなかったけれど、全員が死刑賛成者になってしまう世の中にもなって欲しくはないと思った。2022/03/31
ふらふ
2
以前映画を見た。違いはあるが終わったときに感じることは変わらない。罪を償うというのは何をすれば良いんだろう。何回殺しても足りなくたって人は一度しか殺せない。4人殺されても殺せるのは1人。3人分の悲しみや憤りや思い出はどこに埋めればいいだろう。穴倉にぶちこんで苦しみながら生かす。本当にその生活は苦しいのだろうか。最低限の衣食住と謳うけれど、社会にはそれすら得られない善人が多くいる。食って寝てを繰り返していく日々、自分の犯した罪の重さに気付く人はどれくらいいるんだろう。無機質な部屋に悲痛な叫びは届かない。2016/08/26
鼻毛カッター
1
著者の死刑囚との交流や運動を通した思索の「旅」を読んでいるような、ロードムービーを見たあとのような不思議な読後感。被害者家族との奇妙な友情めいたものが印象に残った。2010/05/18
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