出版社内容情報
「抜本的強化」とは何か――現職だけではなく入隊希望者に読んで欲しい1冊
日本は価値観の違う3つの核保有国に囲まれた、世界でも稀にみる危険な場所に位置する国だ。ところがロシアがウクライナに侵略戦争を起こした。中国は台湾統一に向けて武力行使も辞さない構えを見せ、その弟分である北朝鮮は、ミサイルを撃ち続けている。
こうした中でイスラエル- ハマス戦争が勃発した。
地球儀規模で俯瞰すればヨーロッパ、中東、極東アジアの3カ所の地政学的リスクが上がってしまったのである。その原因がアメリカの外交・安全保障姿勢だ。オバマ政権時代には対中国を正面とするリバランスが行われた。バイデン政権は継承したが、逆に地政学リスクが拡大してしまっている。
そのアメリカは2024年11月に大統領選が予定されている。どちらが勝つにせよ、拮抗する。内政は外交の延長で、その内政が分断するのだから、アメリカの外交の停滞が予想されている。
この状況の中で起こっているのが「戦争の形」の変化だ。かつて戦場は軍人が活動する場所だったが、現在では軍と民間の境界線が曖昧になってしまっている。サイバー、電磁波、宇宙に戦域が拡大したこと。ドローンやAIなど民間技術を軍事転用する兵器が増えていることが大きな原因だ。
こうして整理していくと、自衛隊にはこれまでにない高範囲で多様な役割が要求されていることがわかるだろう。
国防は当然のことだが、国際社会の一員として海外のリスク対応。陸・海・空といった既存の戦域ではない「新戦域」での防衛。また民間と協力した上での、技術開発、防衛装備品開発などである。
もはや既存の自衛隊ではなく、「新自衛隊」とでも言うべき劇的改革を組織面や装備面などあらゆるところで行わなければならない時代がやってきたのだ。
そこで岸田政権は「安保3文書」の改定を閣議決定。これに従って、防衛予算を大幅に増額した。その予算を使って変化を遂げているのが2024年の現実である。
内容説明
「抜本的強化」の目標の下、劇的な変貌を遂げる「令和・自衛隊」のすべて。
目次
第1章 2024年の複合危機(日陰者から誇りに;激変する自衛隊の在り方 ほか)
第2章 アメリカ大統領選が世界を変える(トランプの中東外交;シリア撤退を許せなかった ほか)
第3章 令和の自衛隊像(大改造を余儀なくされる防衛;改定・安保3文書が示す「新自衛隊」 ほか)
第4章 新防衛装備品のすべて(「わかりました」「頑張ります」「大丈夫です」;防衛予算倍増を抑止力強化に ほか)
第5章 国防の要は「自衛官」(人は城 人は石垣;最後まで現場に残る ほか)
著者等紹介
佐藤正久[サトウマサヒサ]
政治家。参議院議員(当選3回)。1960年、福島県出身。1983年に防衛大学校応用物理学科を卒業(27期)、翌84年に帯広の第4普通科連隊に配属。1996年に国連PKOゴラン高原派遣輸送隊初代隊長を務め、98年にカンザス州のアメリカ陸軍指揮幕僚大学を卒業。そして2004年、「戦闘区域かどうか」の議論を経て派遣が決定した湾岸戦争直後のイラクに、先遣隊長として派遣。メディアの窓口となり、その冷静な状況分析と合わせて「ヒゲの隊長」として人気となる。2022年8月31日に参議院国会対策委員長代行に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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