出版社内容情報
2023年末、東京地検特捜部がパーティー券を使った裏金問題によって、岸田派、二階派、安倍派が解散した。
とはいえ、超低空の支持率だった岸田政権にとって、「カネ」をめぐるスキャンダルは致命傷だ。支持率浮上の材料も乏しい中、2024年中には衆院の解散総選挙が行われる。現在の状況は、自民党が下野することになる麻生政権末期に酷似している。過半数割れ必至という予測も聞こえてきた。
自民党はこれまで、存続の危機を2回経験してきた。
1回目が1993年の衆院選で、自民党議員が分裂し過半数割れとなり「55年体制」終焉時。2回目が2009年の衆院選で惨敗し、下野した時である。1回目は政策的にまったく?み合わない社会党、さきがけとの連立という恥知らずな方法で生き残る。2回目は「安倍晋三」というリーダーの誕生によって奇跡の躍進を遂げた。
3回目の崩壊の危機にあるのが現在。リーダー不在の中残されたのは「恥知らずな方法」ということになる。かつて村山富市氏を総理に担いだ前科が繰り返される可能性は高い。
そこで本書では高須克弥氏と井川意高氏との対談を通じて、自民党を立体的に分析した。
最初に取り組んだのが「政治家・安倍晋三」の価値だ。そのことを示すために考察しなければならないのが安倍氏が目標としていた祖父・岸信介氏である。両氏の比較を通じて「自民党」結党の意義を考察した。
次に考えたのが自民党の金権政治の原点だ。その主犯こそが田中角栄氏だが、そもそもなぜ政治にカネが必要なのか知らない人も多い。
そこで高須氏と井川氏が直接体験した「政治とカネと票」の生々しい現実を明らかにした。
この政治不信のカオスの中で産声を上げたのが作家・百田尚樹氏の「日本保守党」だ。両氏が問題視しているのは共同代表に就任した河村たかし名古屋市長の存在である。自民に対する不信が生んだ政党が「第二の自民」に転落する危機だ。そこで「河村たかし」を分析し、「保守」という言葉の意味に迫った。
自民党が墜ちた根底には政治家の国家観の喪失がある。それゆえ歴史や伝統、文化を自ら放棄するという暴挙が行われているのだ。ところが憲法改正、中国の台頭による新たな国防の構築、女性天皇――この惨状の中で日本に突き付けられた政治課題はあまりにも多い。その一つ一つを精査し、自民党に待ち受ける近未来図を導き出した。
内容説明
裏金問題から派閥解体。総理の座を離さない岸田。上向く材料がない支持率。55年体制終焉と下野…2度の危機を生き延びた自民党がついに崩壊へと向かう。その正体とは、なぜここまで堕ちたのか、2024年衆院選の予測、日本の政治はどうなる―歴史や秘話を交えながら気鋭の論客2人が立体的に「自民党」を解剖した!
目次
第1章 自民=保守の嘘(政治家「安倍晋三」の原点;岸信介と日米間裏面史 ほか)
第2章 金権政治と腐敗の闇歴史(安倍ノートの真偽;「前科一犯」は重いか軽いか ほか)
第3章 経験した「政治とカネ」の現場(政治にカネがかかる裏事情;取引先に名簿を要求する公明党 ほか)
第4章 変化を余儀なくされる日本で…(1週間のやっつけ仕事で作られた憲法;あまりにもお粗末な自民党憲法改正案 ほか)
著者等紹介
高須克弥[タカスカツヤ]
高須クリニック院長。昭和20(1945)年愛知県生まれ。昭和大学医学部卒業。同大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。昭和大学医学部客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。「YES高須クリニック」のコピーをはじめとして、日本で最も広く知られる美容整形外科ドクター。江戸時代から続く医師の家系に生まれ、大学院在学中から海外へ研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。「脂肪吸引手術」を日本に紹介し普及させた。人脈は芸能界、財界、政界と幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章
井川意高[イカワモトタカ]
1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、1987年に大王製紙に入社。2007年6月、大王製紙代表取締役社長に就任、2011年6~9月に同会長を務める。社長・会長を務めていた2010年から2011年にかけて、シンガポールやマカオにおけるカジノでの使用目的で子会社から総額約106億8000万円を借り入れていた事実が発覚、2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。懲役4年の実刑判決が確定し、2013年10月から2016年12月まで3年2カ月間服役した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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