内容説明
沙代子は夫の暴言に耐えきれず、衝動的に家を出て、車を走らせていた。そこに飛びだしてきたのはキャバクラ嬢の紫苑。彼女は沙代子の車に乗り込んできて、スポーツ公園の体育館の植栽に隠されているボストンバッグの回収を命じた。中に入っていたのは、なんと現金3000万円!紫苑は金の持ち逃げを提案。この金があれば、沙代子の実家・印刷所の倒産はまぬがれる。しかし、その金は実は誘拐事件の身代金で…。暴力団に、闇の犯罪集団、想定外の連中に追われる羽目に陥った二人。異色のバディは窮地を乗り切ることができるのか!?
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
275
宇佐美 まことは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。ノワール群像ドタバタ劇、映像化すると楽しいと思われます。それにしても登場人物がワルばかりでした(笑) https://www.tokuma.jp/news/n55112.html2024/01/11
いつでも母さん
168
宇佐美さんがドタバタ劇を描くとこうなるのか?って感じで読み切った。どこかで読んだようなストーリーなのだが(汗)『土壌菌』を絡めるのは面白かった。たまたま、たまたまが何度も起こったらそれはもう偶然なんかじゃないよ、沙代子さん。地味で平凡な主婦・沙代子の自立物語だったが、どうしても重くて深い作品を宇佐美さんに求めてしまうんだ私は・・勝手でごめん。2023/12/24
はにこ
156
冴えない主婦が事件に巻き込まれる。犯人に勘違いされたり引っ張り回されたりといかにもジョーカーを引きそうな展開なのに、急展開の連続。騙し合いが面白い。それでも主人公が料理と植物の知識で自ら道を切り開いていくのが爽快だった。そしてハッピーエンドなのもよい。夫にもっと制裁がくだればもっとスッキリしたかな?2024/01/11
モルク
146
あれっ?これって宇佐美作品?と思えるほどいつもとは違う。小太りで凡庸ちょっとノロマで後妻に入った家族からも見下され…だけど料理上手な専業主婦沙代子がキャバ嬢紫苑と繰り広げるドタバタ劇。横取りした身代金三千万、ヘタレホスト、誘拐された女子高生、タッグを組むのかはたまた裏をかきあうのか。とにかく後半に行くほどペースアップ。沙代子が子供の時四国の銀山で得た植物、カビなどの知識が役に立つ。果してジョーカーは…そしてジョーカーを引くのは誰なのか。テンポよく楽しめた。2024/02/25
しんたろー
141
後妻として入った家で酷い扱いをされている女性・沙代子が主人公のサスペンス…ひょんなことからキャバ嬢・紫苑と逃避行をする事になって、次々と起こる危機を乗り越えてゆく展開はこの手の物語のテンプレートのよう…自分に自信がない沙代子が紫苑や事件と向き合いながら段々と目覚めてゆくのも、王道の流れと言える。テーマである「食べることは生きること」には大きく頷けたし、沙代子の植物&食の知識が事件解決になるのも主人公らしくて良い。過去作に多い宇佐美さん独特の暗めな作風を期待すると肩透かしだろうが、エンタメ作としては上々👍2024/02/14