内容説明
犯罪の傍らには、鳥、蟻、魚、コウモリ、犬、プラナリアetc.生き物がいる!巧緻に練り上げた伏線と、まなざしの温かさ。長岡ワールドの魅力を堪能するミステリー八篇!盗難事件の容疑者を尋問中の刑事は、珍しい鳥の鳴き声を聞いた(『巨鳥の影』)。侵入者を殺した女性教師は正当防衛で無罪になるが…(『死んでもいいひとなんて』)。薬の誤処方で、前途を絶たれた医師の失脚に元恋人の看護師の影が(『鏡面の魚』)。浮気の証拠のスマホを持って行ったのは小学5年の義理の娘だった(『見えない牙』)ほか。
著者等紹介
長岡弘樹[ナガオカヒロキ]
1969年山形県生まれ。筑波大学卒業後、団体職員を経て、2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』で単行本デビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。13年『教場』が週刊文春ミステリーベスト10第1位になる。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
268
長岡 弘樹は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「いきもの」がからむライトなミステリー短編集、オススメは、『死んでもいい人なんて』&『鏡面の魚』です。 https://www.tokuma.jp/book/b588595.html2021/09/13
しんたろー
215
長岡さんの新作は30ページ前後の短編が8つ収録されていて動植物のトリビア的知識も散りばめられてサクッと読める。「短編の名手」の名に恥じないキレのあるミステリ&ドラマではあるが、名作『傍聞き』から全作を読んでいるファンとしては若干の物足りなさも覚えた。それは、他作品に比べてページ数が少ないから、どうしても心情不足による奥行きのなさによるものなのだろう。それでも切なくも温かい余韻が残る『死んでもいい人なんて』と『白いコウモリ』は著者の筆力の高さを証明する作品だと思うし、今後も期待して新作を待ちたい作家さんだ♬2021/09/14
いつでも母さん
183
長岡さんの短編集8話、どれも読ませる。安心してその世界に浸る。もの悲しかったり、考えさせられたり、えぇーって思ったり。好みは『白いコウモリ』母の愛が切ない。2021/08/30
修一郎
140
一篇あたり30ページぐらいの分量でネタをささっと入れ込んでくるあっさり展開スタイルはいつも通りの長岡さん。今回はそんなにイライラせず読めましたよ。初めて知った蘊蓄もあって後でネットで調べてまた感心。お気に入り順番(蘊蓄に感心した順番です);①巨鳥の影(これ好き!)②再生の日③鏡面の魚(ネットにたくさん事例があった!)④水無月の蟻⑤死んでもいい人なんて⑥白いコウモリ⑦巻き添え⑧見えない牙2021/10/10
とん大西
136
著者初読みです。人気の教場シリーズもすっ飛ばして今回の短編集をチョイスしましたが…。あぁ、こういう感じの書きっぷりなんやねぇ、と。淡々と展開しながら最後にさりげないどんでん返し。それが「過ぎる」ほどでもなく、頁数も相まってほどよい読みごこちでした。『白いコウモリ』は予定調和なおとしどころがかえって良い読後感。『巻き添え』や『水無月の蟻』でラストに漂う哀愁はわりと好みです。 2021/10/20