出版社内容情報
ありそうでなかった近代日本文学の「名作」集ならぬ「名場面」集。漱石、三島、太宰…60の名作を網羅。1作10分で知る醍醐味
内容説明
6人の慧眼が選ぶ、必読の「名場面」集。解説つき。
目次
案内人 平野啓一郎(蜜柑 芥川龍之介―人生の狭間に見た美;ミッシェルの口紅 林京子―非日常の透徹した記録 ほか)
案内人 阿部公彦(雪国 川端康成―つまるエキスに目がくらむ;花の精 上林暁―人智を越えた究極の「べとべと」 ほか)
案内人 ロバートキャンベル(黴の花 武田麟太郎―時局の不穏と群衆の不気味さ;君たちはどう生きるか―吉野源三郎―「一分子」の実存気づかせた眺め ほか)
案内人 鴻巣友季子(箱男 安部公房―運命の出会い。文学の魔道へ;みいら採り猟奇譚 河野多惠子―ホラーよりも怖い人の心の危うさ ほか)
案内人 田中慎弥(マシアス・ギリの失脚 池澤夏樹―バーボンが消えたあとで;水 佐多稲子―泣くしかない時でも ほか)
案内人 中島京子(たけくらべ 樋口一葉―小気味よい会話、耳に心地よく;椿の海の記 石牟礼道子―境界やすやす跨ぐ、融通無碍なみっちん ほか)
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心と頭に栄養補給する本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いっち
26
作家や研究者が、日本文学を選んで、抜粋シーンと作品の解説をする。中島京子さんの、田山花袋『蒲団』の解説が面白かった。中島さんは、『蒲団』が勘違い小説の傑作と言う。主人公の作家が、女弟子をとる。女弟子は若い男に恋をしているようだった。主人公は、タイミングさえ合えば、自分が女弟子を手に入れられたと考えている。しかし中島さんは、女弟子が主人公に恋をしたとは考えられないと言う。「尊敬」を「恋」と見做すのは、勘違いだと。女弟子は主人公を尊敬していたが、恋の対象ではなかった。主人公は尊敬を恋と勘違いしてしまった。2023/04/27
流之助
13
どんな場面を名場面としたのか、選者の好みというか、どういうところに注目して読んでいるのかが感じられる60選。田中慎弥と中島京子の評論部分が楽しく、選んだシーンも興味を惹き付けられる。楽曲のサビだけ聴かされているようなもので、唐突に場面が抜き出されているから戸惑いもあるが、そこで気になったら読めばいいというわけ。紹介された作品の全てが読みたくなったが、青空文庫にある作品はすぐにでも読めるのは助かる。自分にとっての名場面はどこか意識してみるのも楽しむポイントかな。2025/03/13
朔ちゃん
7
題名のとおり60の小説の名場面を紹介した本で、解説者は5名の著名人。先入観がないままフッと読んで、ハッとなって(ときどきヒィとかヘッ?となって)解説読んでホォ…と腑におちる。60通りの百面相を味わった。平野さんとは相性いいなぁと思ったし(畏れ多い発言です。あくまで私の一方的な片想いです)田中さんのエッセイ風の解説にも惹かれた。読後は読みたい積読本がますます増えて、嬉しい悲鳴をあげている。2021/05/27
ヨシムラ管
5
金閣寺しか読めない2025/04/10
のせなーだ
3
作家はどんなふうに感じて、文学作品を読んできたのか知りたいような。その読書を覗き見したいような気持ちもある。 それぞれ切り取られた場面は、たしかに惹きつけるものがある。作家自身の視線とか感受性とか興味もある。特に田中氏に対して意外性と新鮮なものを感じた。2022/06/11
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