人鳥(ペンギン)クインテット

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 46判/ページ数 280p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784198651541
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ある日、祖父はペンギンになった。
そして僕は今、取調室にいる――。


独特の空気感のある作品。
私には絶対に書けないタッチで人物が描写され、嫉妬すら覚える。
作家・赤松利市

説明し過ぎない文章にある想像の余地。残る余韻。
何か気になる……。
彫刻家・吉村浩美

闇が深すぎて底が見えない。
心の痛覚を刺激される衝撃のサスペンスです!
文芸編集部編集長


ある日起きると、祖父がフンボルトペンギンになっていた。この異常事態をなぜかすんなり受け入れた柊也は、ペンギンを祖父として世話をすることにする。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一匹の閉じられた世界は平穏に続いて行くかに思われた。しかし、一人の少女との出会いをきっかけに、柊也の日々に亀裂が入り始めて……。
第三回大藪春彦新人賞受賞者長篇デビュー作

内容説明

ある日起きると、祖父がフンボルトペンギンになっていた。この異常な事態をなぜかすんなり受け入れた柊也は、ペンギンを祖父として世話をすることにする。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一匹の閉じられた世界は平穏に続いて行くかに思われた。しかし、一人の少女との出会いをきっかけに、柊也の日常にさらなる亀裂が入り始めた。

著者等紹介

青本雪平[アオモトユキヒラ]
1990年生まれ。青森県出身。「ぼくのすきなせんせい」にて第三回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

268
「朝起きたら じいさんがペンギンの姿になってた」衝撃の出だしから、ぐいぐい物語に引き込まれた。ペンギンだけでなく、多くの登場人物も動物に例えられる面白い展開だった。猿顔の刑事、ラクダに似た民生委員、ブルドックと見まがう駄菓子屋の主人とポメラニアン風の妻。極めつけは貧相な馬みたいなDV夫!  最終局面でちょっと物足りなさを感じてしまったが、この著者の今後の作品が、気になってしょうがない。2025/03/10

みっちゃん

171
息を呑むように読了、そして絶句。始まりは警察の取調室。「きっかけは、祖父がペンギンになったことです」あまりにもシュールな出来事にそぐわない、ペンギンに変容した祖父と近所の少女、そして自分の穏やかな毎日。が、実はその裏には「深すぎて底の見えない」闇が存在していた。大事な者を守る為に突き通さねばならぬ一世一代の嘘。そして、これまた絶対に明かせない真実。丁寧な説明はない、だから自分がちゃんと理解できているか心許ないが、この静かな絶望と悲しみに打ちのめされた。作者の次の作品を私は熱望する。2020/12/12

おしゃべりメガネ

162
なかなかキテる作風の作家さんです。高校にもマトモに行かない少年「シュウ」は祖父と二人暮らしですが、ある日突然、祖父が理由もわからぬままフンボルトペンギンに生まれ変わってしまったら、という設定で物語は始まります。そんな奇想天外な状況にも不思議と馴染めてしまう世界観を綴る作者さんは、かなりの筆力があるのかなと。ミステリーといえばミステリーだし、ある意味ファンタジーといえばファンタジーテイストありの作品です。主人公「シュウ」がかかわる「晴」ちゃんや「菜月」さんのキャラが印象的で、特に「菜月」さんが良かったです。2020/12/23

セロリ

48
面白かった。同居する祖父がある朝起きてみるとペンギンになっていた。こんなあり得ない設定の話なので、さぞかし難解で抽象的な話なんだろうと身構えていたが全然違った。そもそもペンギンになった祖父がメインじゃなく、祖父は生きてるけど会わせられないという設定が必要だったのだ。引きこもりニートの柊也は、ペンギンの面倒をみながら祖父の代わりに大家として振る舞いつつ、このままでいいわけないと思う。でも変われない。祖父がペンギンになっても。二度もジャンプしたにも関わらず。柊也のやったことはこの後明らかになるのだろうか?2022/05/06

あじ

44
祖父がペンギンになった──この触れ込みに私は大層油断していた。冒頭でカラスは執拗に鳴いていたというのに、張りぼての家を覗いていたに過ぎなかった。ラクダ顔の民生委員は私だったのか。宗像に現実逃避するなとあれだけ忠告されていたにも関わらず、適温にのぼせていた。「飛べないペンギンは退化じゃない、進化だ」ぐるっと一周鮮やかに帰結できたのは、象徴的物証を緻密な配分で描いていたからだ。「ペンギンでよかった。でっかい虫だったら可愛くないもん」──私の意識下にカフカを置きましたよね。次作は前もって予防線を張っておきます。2020/11/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16706687
  • ご注意事項

最近チェックした商品