出版社内容情報
真っ白な自称人魚の男と寺で同居することになった私。いつしか奇妙な力が…。書評家熱賛!奇想小説の異端児が放つ待望の初長篇!
内容説明
人魚の男と私。おんぼろ寺での奇妙な共同生活は、私を壊す…。ある日私は誰もいないおんぼろ寺に帰ってきた。掃除に取り掛かった私が池で見つけたのは、真っ白な自称人魚の男『うお太郎』。人魚にも見えないが、人間とも思えない不思議な生物だった。うお太郎は「この寺の周辺には奇妙な石が埋っており、それを私には見つける力がある」と言うが…。
著者等紹介
田辺青蛙[タナベセイア]
1982年大阪府生まれ。オークランド工科大学卒業。2006年第4回ビーケーワン怪談大賞で「薫糖」が佳作となり、『てのひら怪談』に短編が収録される。2008年『生き屏風』で、第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
283
献本。まあまあ。冒頭から中盤にかけては人魚や天狗が主人公とほのぼのするだけだったのでちょっと退屈したりしたけれど、終盤になっていろいろショッキングな展開が繰り広げられて一気にホラー感が出てくるので、いい意味で期待を裏切られた。この展開を知ってしまうと、それ以前のパートが伏線だらけだったような気がして、もう一度読み直したくなってくる。あとうお太郎のキャラがいい。田辺青蛙さんは初読みだが、ほかの作品もちょっと読んでみたくなった。2018/01/27
mocha
93
なんだろう、この湿度。人魚の匂いとかヌメッとした空気が重くまとわりつく。不思議な石とたくさんの秘密を隠し持つ山。和のファンタジーかと思いきや、ムードはホラーだった。この不気味な感じ、クセになりそう。2019/10/14
★Masako★
70
★★★+青蛙さん二作目。何とも不思議な幻想ホラー♪亡くなった祖父母の代わりに山寺の住職となった日奥ユキオ。寺の池で見つけたのは真っ白で人間そっくりの人魚の「うお太郎」。うお太郎と暮らす内にユキオの周りで奇々怪々な事が起こる。妖と人間が共存している山奥の世界。飄々としていて謎の多いうお太郎、不思議な力を持つ様々な石、天狗、もう一人の人魚との出会い。ほのぼのとした味わいの中にも、湿り気のある不穏な空気感と見え隠れする過去。最終章には思わずゾクリ?驚きと謎の残る結末に、また読み返さないではいられなかった!2018/03/23
チョコ
51
ドラマで人魚の話が出ていたので、人魚と言えば不老不死で死ねないって怖いと思ったら本があったなぁ、、と題名わからず借りてみた本。結局この本ではなかったのだけど、これはこれで面白かった。貧乏寺で住職をする男性が自称人魚の男に出会って、、いわゆる人魚ではなくただただ水の中に住める人間のようなこの生き物。この住職は、色々な石を探す能力があって、天狗も出てきて、、伝説の生物大集合。記憶の石が怖いかも。記憶のすり替えって感じで。2024/12/10
annzuhime
42
図書館本。後を継いだ寺の池の底から現れた色白の人魚。そこから始まる人魚との不思議な生活と石に纏わる話。石が見せる記憶と真実。自分が見てる世界は夢か現か。久しぶりに読んだ田辺さんの作品。幻想的かつホラーなこの世界観がたまらなく好き。後半の真実が解明するところは衝撃的だったけど、主人公が見た未来の風景に少し救われた感じがする。ただ、この本を読むと、人魚に関わりたくはないなと思ってしまうね。2018/01/25