内容説明
南アルプス山岳救助隊の新人隊員・星野夏実は、相棒の救助犬、ボーダーコリー=メイとともに、北岳にある現地警備派出所に着任した。過酷な訓練と、相次ぐ山岳事故、そして仕事への情熱と誇り。そんな日々の苦楽をともにする仲間にも打ち明けられない秘密が、彼女にはあった。東日本大震災の被災地で目の当たりにした凄惨な光景―“共感覚”という能力を持つがゆえに受けてしまった深い心の疵が、今もなお越えられぬ岩壁のように夏実の前に立ちはだかっていた。やがて立て続けに起こり始める不審な出来事。招かれざるひとりの登山者に迫る陰謀と危難を察知した夏実は、猛り狂う暴風雨の中、メイとともに命をかえりみず救助に向かった…。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年、山口県生まれ。2008年刊行の『約束の地』で、日本冒険小説協会大賞と大藪春彦賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
126
南アルプスの主峰北岳。広河原から仰ぎ見るその峰は雄大で、夏になれば高山植物が咲き乱れる美しい山。その北岳の山岳救助隊に配属になった新人ハンドラーの夏美と救助犬のメイ。ミステリー色はやや薄いものの、山岳救助隊員としての夏美の成長物語。広河原、大樺沢、御池小屋、草すべり、主峰北岳、かつて歩いた南アルプスの素晴らしい景色を思い出しながら読むことが出来ました。「生きていてくれて、ありがとう」この言葉が印象的でした。★★★★2016/03/12
miww
96
とてもよかった。南アルプス北岳の山岳救助隊に着任した星野夏実の成長物語。シリーズ1作目との事でこちらから。救助犬メイとハンドラー夏実の絆、終盤はメイが心配で何度も涙した。「人より早く死を迎える犬がどうしてこんなに幸せそうに短い生をまっとうしているのか‥純粋、何者にもけがされない心‥」「残された時間が短いほど私たちはそこに何かを見いだすべきだ。生きていることは素晴らしい。そんな実感、心の歓びを探し出す事なのだ」生。その瞬間を大切に生きたいと切に思った。シリーズ、ずっと追いかけたい。2018/03/02
みかん🍊
92
南アルプスの山岳救助隊の新米夏実と相棒の救助犬メイの活躍が描かれている、序盤の震災のくだりは胸が苦しく読み進めるのが辛かった、美しい南アルプスの自然の中過酷な訓練と厳しい現状の中要救助者を無事家に帰す為に必死で働く「生きていてくれてありがとう」の言葉にジーンとさせられた、ただ政治家の事件はちょっと風呂敷を広げ過ぎなのではと不自然さを感じてしまった。シリーズ化されているようなのでまだまだ彼らの活躍を見るために次を読もう。2018/02/09
chimako
89
山と犬と人の話だと思って読み始めた。確かに山と犬と人の話たが後半は政治家と警察の話でもあった。遭難者を救助するために訓練された救助犬のそのハンドラーを軸に、美しく厳しい山の自然が筆豊に描かれる。犬たちの必死も、人の心の裏側も闇も強さも描かれる。北岳は馴染み深い山である。盆地を少し西に走るとその姿はよりくっきりとそして凛々しく望むことができる。多分、今日も冬の北岳に登っている人たちがいる。どうか無事に下山してください。広河原に今年の夏は行ってみよう。間近に北岳を見てみよう。2016/01/07
ゆみねこ
84
南アルプス山岳救助隊に配属された新人女性警察官夏実と救助犬ボーダーコリーのメイ。3.11で災害派遣の後心に大きく傷を負い、リハビリのあとに赴任したその場所は北岳の中腹にあたる。厳しい山の中の生活、刻々と変わる気象条件。様々な要救助者を救うために戦う隊員と犬たち。面白くて一気に読了しました。日本ではまだ山岳救助犬は採用されていないとのこと。犬の能力は素晴らしいと思うので、救助犬が導入されたら良いですね。2015/06/08
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