内容説明
仕立て職人を父に持つ十三歳のメアリーは、刺繍が得意なお針子だ。花や鳥など、自然の美しさを布に刺していくメアリーの腕は、かなりのものだった。父が仕えるシドニー卿のもとにウォルター・ローリーが訪れた。シドニー卿の妻子がエリザベス女王を訪問するのに同行しようというのだ。そして、その際に身に着けるマントを作るのは、メアリーと父の仕事になった。しかしある夜、メアリーは、カトリック派の数人の男が、女王の暗殺を計画している話を偶然聞いてしまった。そのうえ、そこに来合わせた父が殺されるところまで目撃してしまう…。エリザベス朝時代を舞台に、実在の人物を巧みに配して、女王を救おうと奔走するお針子の少女の冒険を描く、ロマンティックでスリリングな物語。
著者等紹介
ペニントン,ケイト[ペニントン,ケイト][Pennington,Kate]
イギリス北部のヨークシャー、ハロゲイトに生まれる。バーミンガム大学卒業後、教師として働いた後、作家を目指す。現在はヨークシャーにふたりの娘と暮らしている。ケイト・ペニントンは、作家ジェニー・オールドフィールドがヤング・アダルト向けの歴史小説を書く際のペンネーム。5つのペンネームを使い分けている
柳井薫[ヤナイカオル]
1961年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、出版社勤務を経て、現在は英米文学の紹介、翻訳につとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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天の川
59
エリザベス朝の史実を下敷きにしたYA小説。当時の貴族は仕立て職人を邸内に雇っており、メアリーは刺繍の才を持つお針子だ。この時代、王が変わるたびに起きた英国国教会とカトリックの権力闘争や弾圧はすさまじいが、この本でもメアリーが巻き込まれる。微細に描かれた当時の王侯貴族の衣装の美しさに興味の多くを奪われつつ、メアリーに、そしてエリザベス女王に迫る危機にハラハラした。ウォルター・ローリーが何ともつかみどころがなかったが、実際もそうだったのかもと思った。大人向けに書かれていたら、どっぷりハマりそう。面白かった♪2022/12/07
ケロリーヌ@ベルばら同盟
56
一つの伝説的な場面がある。エリザベス女王の足下の泥濘を、自身のマントで覆い、女王を華麗にエスコートするウォルター・ローリー。その美貌と機知とで寵臣へと昇りつめた若き探検家の肩に翻るマントは、真紅のイメージであったのだけれど、本書では、漆黒の天鵞絨に黒貂の毛皮の縁り。金糸銀糸で花鳥を刺繍し、真珠をちりばめた豪奢なもの。その芸術品のようなマントの中に、作り手、ウォルターの野心、時代背景が凝縮される。この本を手に取るきっかけとなった、こみねゆらさんの表紙画に、本作の世界観が実に丁寧に描きこまれていると感動した。2021/05/05
エンブレムT
55
エリザベス朝時代のイギリスを舞台に繰り広げられた、虚実入り乱れたサスペンス物。5つの名を持つ作者の、YA向け歴史小説を書く際のPNが使われた作品なので読みやすいです。美しいデザインで服を作ることを何よりも愛する誠実な13才のお針子・メアリーが、女王陛下暗殺計画に巻き込まれてしまうという物語。展開として首を傾げる場面も多いのですが、この時代独特の贅沢で奇抜なファッションがお針子目線で次々に描写されていく楽しさは格別でした。カバー画だけでなく、こみねゆらさんのイラストでもっと沢山の刺繍の図柄を見たかったです。2012/05/08
ねむねむあくび♪
54
図書館の本。女子向けの児童書だが、大人が読んでも充分楽しめる。13歳のお針子のメアリーが女王の暗殺計画を知ってしまい、父親を殺され自分も命を狙われる…まあまあスリルも楽しめるし、イギリスの歴史にも興味が持てるし、刺繍やドレスの描写も細やかでワクワク♪前半のいじめられた生活描写がなんとなくシンデレラを連想し、応援したくなるストーリ♪清廉なヒロインが魅力的でした!2013/06/02
星落秋風五丈原
47
寵臣サー・ウォルター・ローリーがぬかるみに高価なマントを広げてエリザベス女王を通したという伝説は有名。ではそのマントを作った人間も当然いたわけで…ということで本編のヒロインはマントの作り手でありメアリー・デュヴローだ。本編のローリーは脇が甘い。友人・親戚あらゆる所に借金ばかりしているのに、派手なマントを作らせる金銭感覚の甘さ。まあ当時の貴族は皆こんなものかもしれない。メアリーは美人設定だが彼女にも気のある素振りを見せるわ、彼女の訴えにぴんとくるものがあったにも関わらず自分一人で何とかしようとするわ。2022/05/01
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