内容説明
若い母親のリーと貧しい暮らしをしている九歳の少女シーオは、リーが夜勤の間ひとりぼっちで留守番をしながら、図書室の本を読んでは、「夢の家族」を想像するのが楽しみだった。やがてリーは新しいボーイフレンドと一緒に住むことになり、シーオは顔も覚えていないリーの姉シャロンに預けられることになる。「わたしが邪魔なの?」シャロンの家に向かうフェリーの中で、シーオは絶望的な気持ちになっていた。と、そこに、夢見ていたとおりの仲のいい四人兄妹が現れた。四人と遊びながら、シーオは必死で願った…この家族の一人になりたい!ふと気づくと、シーオは兄妹の家にいた。兄妹の母親が、「今日からあなたもこの家の子よ」と優しく迎えてくれる。夢見ていたとおりのすばらしい暮らしが始まった。だが、シーオが「リーはどこ?」と聞くと、新しい家族にはその言葉が聞こえないようなのだ。そして、シーオのそばに時おり現れる、ほかの人には姿の見えない謎の女性は、いったいだれなのか…?カナダ総督児童文学賞を受賞した、心あたたまる不思議な物語。小学校中・高学年~。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nekopon
3
夢は夢でしかない。でも、夢がないと生きられない。想像力がいかに大事なものか考えさせられました。後半は一気読み。2008/10/31
timeturner
2
面白かった。つらい境遇にあるときに本の世界に逃げこむ、というのは多くの人が経験することだけれど、それが現実になったら、というお話。幽霊物語や夢おちのようでありながら、それとも少し違う。児童文学の名作がたくさん出てくるので、ついついそっちも再読したくなる。2014/05/04
ロピケ
2
読んでいて、著者のアーサー・ランサムをはじめとする児童文学作家への親近感が伝わってくる。曇りの無い、幸せな物語の世界を描くことは、現代の作家にとっては、現実を写すという点で禁じ手になっているから、以前の作家たちの用いてきた手法の限界を自分の作品で超えていかなければならない。そんな覚悟が主人公の住む世界から感じられた。この物語を読んでいる途中の読者のストーリーの運び方に対する不満について、作中で作者自身(!!)が問題視しているところなどユーモアもある。最後に希望を持たせる方法も自然で、現代的な物語。2012/03/09
naonchi
2
子供の頃、親に叱られて「自分の親も○○ちゃんのお母さんみたいに優しければいいのに」「あそこの家の子供はいいな」とつい愚痴ったり、想像したりしたけれど、完璧な家族はどこにも居ないもの。タイムトラベルものではないけれど、ちょっと不思議で優しいお話。作中で幽霊のセシリーが作った物語を、実際に図書館に借りに来た子供がたくさんいた、というのも微笑ましいエピソードでした。2012/01/30
くもりーな
1
期待せずに手に取ったのがどうしてどうして、面白かった2008/07/14
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