内容説明
その昔、長い戦争があったときのこと。赤の国と青の国も、長いあいだ戦争を続けていました。青の国の王子ファビアンは、戦争の決着をつけるため、一騎打ちに臨んだものの、成果をあげられず、父王の怒りをかい、国を追われてしまいます。軍隊も持たず、たったひとりになったファビアンが、知恵を武器にめざしたことは…。フランスの若手作家が描いた美しく力強い寓話絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
50
世界に目を向ければ、各地で報復の連鎖が止まりません。現地の惨状が日々伝えらているのに私にはどうすることもでず、忸怩たる思いだけが残ります。一体、どうすれば戦争を止めることが出来るのでしょうか。力の均衡こそが平和を維持するのだと唱える学者や政治家の言う事を信じて脅しには脅しで対抗すべきなのでしょうか。そんなことを時々考えます。さて、この絵本の主人公は、たったひとりで戦争を止めました。そんなこと出来る訳ないというのは簡単です。作り話だから何とでも出来るのだと馬鹿にすることも出来るでしょう。しかし、↓下に続く2024/12/19
たまきら
37
読み友さんの感想を読んで。素晴らしい絵本です。読みながら、「宇宙人が侵略しに来たら、人類は団結できるかもしれない」と昔社会の先生が言っていたのを思い出しました。大局を見ることができる人間は、時に理解されず孤独だけれど、報われるお話があってもいいよね。夫婦で感じ入りました。2024/12/07
まさまま
28
【軍隊を持たず、知恵を武器に戦った王子の物語】これを夢物語だと、理想だと笑う人がいるかもしれない。しかし共感、賛同する人はそれ以上必ずいると信じます✨戦争は多くの犠牲と負の感情が渦巻く。「守るため」と言えば聞こえがよいが、やられたらやり返す…両国ともに疲弊しているのに簡単には終わらない。24年前に出版されたこの作品のような賢いリーダーはいないのだろうか。2024/12/18
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
18
なぜ人は争うのか?必要のないものは止めてしまえばいい。けれどそれを上手く言えない少年は考えた、考えて行動にうつし上手くいった。やがて少年は王になる。そして彼が王の時代に戦争は無かった。2019/05/08
Cinejazz
11
赤い国と青い国との戦争が長く続いていました。〝どうして始まったのか? いつまで戦って死んでいかなければならないのか? 〟双方の国の人々の心は、傷つき病んでいました。 青の国の王子ファビアンもその一人でしたが、父王の怒りをかい国を追われる身に。 戦争を終わらせるために、軍隊を持たず、知恵を武器に戦ったファビアンのたった一人の戦いとは、第三国(黄色の国)を後ろ盾に、平和に向けた奇策でした・・・。 無益な戦争を戒め、平和の尊さをきめ細やかで色彩豊かに描かれた、フランス女性作家の大型絵本です。 2022/04/11