内容説明
「官」による差別と抑圧をくぐり抜け、いわれなき偏見にも耐えて、独自のビジネス世界を築きあげた中国商人。四千年にわたって積みかさねた、その生活哲学、金銭観、商法の実像を明かす。
目次
第1章 歴史を彩った“奇商”たち
第2章 商人はどこから来たのか
第3章 抑圧と怨念の商人史
第4章 金銭が先か、権力が先か
第5章 結束する商人たち
第6章 真の商人になるために
第7章 ひたすらもとめる富貴の道
第8章 辛苦の果ての精神世界
第9章 中国商人の知恵袋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小竹
1
中国大陸における「商人」の在り様を、その発生からおおよそ清朝末までの歴史・風俗から考察する1冊で、そのうち徽州商人の比重やや多め。商人・商売などの言葉に用いられる「商」の字は、元々商の国の人が物を売買を生業としたことに由来する―とは本書で初めて知った。改めて驚いたのは、官に納める賄賂の額。王朝は次々に替わっても、この風習の根強く残っていることの不思議さよ。ただ取扱範囲が広く、時折地理・時代区分の迷子になってしまう。図版や年表等が付されていれば、体系的に理解し易くなると思うのだけれど。2018/06/13
ヴィクトリー
0
康煕・乾隆の頃でさえ、高額の税や公式・非公式の寄付の強要があった事にいささか驚く。これでは官と結びついて身を守ろうとし、官と癒着する事を特に悪いこととみなさないのも仕方ないのかもしれない。官の権力の前に、中国商人、ひいては中間層は抵抗出来る程は育たなかったのだろう。現代でもそれは変わらないのかもしれないが。2012/01/17