内容説明
平等と非戦の論理。うちつづく戦乱・収奪を峻拒し、敢然と平等無差別・非戦論をとなえた墨子。敵視され抹殺されながら、はるかのちの近代中国革命の地下水脈ともなった、その根元的な変革思想とは―。
目次
親士(しんし)―人材尊重
所染(しょせん)―何に染まるか
七患(しちかん)―君主の誤り七つ
尚賢(しょうけん)―人の能力を正当に評価せよ
兼愛(けんあい)―人々を差別するな
非攻(ひこう)―非戦論
節葬(せっそう)―葬儀を簡略にせよ
天志(てんし)―天の意志
非楽(ひがく)―音楽の害悪
非命(ひめい)―宿命論に反対する〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
4fdo4
7
儒家の必要以上に礼を重視して長期に喪に服す事を否定し、例え親の葬儀であっても簡素に済ませすぐに仕事に戻るべきであると説く。 そして、葬式に集まり飲み食いする孔子の弟子たちを「とむらい乞食」と切って捨てる。 その潔癖すぎる思想は、本当に実現できるのか分からない。 しかし、2000年を超えても響くものは多く、私は「野菜の切り方が正しくなければ食べず、箸の置き方が間違っていいれば食べず」などといった孔子より墨子は大好きである。 墨子の思想の根底は「兼愛」であり、他人も我が身と同じように愛せと教える。2016/05/28
zoros
5
兼愛、非攻、尚賢、非命、非楽、非儒。 このころの儒家は国庫も考えず音楽を楽しみ、喪や祭礼になれば出て行って食にありついていたようです。 墨子が言う『利』は公的なもの。 徹底しすぎているところもあるが、それどころではないほど民は疲弊してたのだろう。 現実的な思想に愛を感じます。2021/08/13
はるかぜ
1
なかなかひねくれていたんだろうなってお話し2023/12/04
わかば
1
シリーズ内の儒家からの印象では非常に望ましくない印象であったが、実際に読んでみると、一番すっきりした。生まれ等の階級は低い出身であり、現実的な世の中の生活等について、一番の思慮があったと思う。その時代の儒家の状況は、葬式を大袈裟にすることで、それによって儒家が旨い汁を吸っていたことが原因となっているらしい。それにしても、皮肉的な面もありながらも、儒家の矛盾が明快にわかり、素直に、「粋な人」な印象があった。このように生きたいと思う。実践に重きがあり、理知的な振りばかりの儒家と比較して、かっこいい生き方だ。2023/09/18
takehiro
1
兼愛という思想は本当に素晴らしいと思う。平和な世の中になりますように。2013/03/07