内容説明
昭和十七年二月東条英機首相はシンガポール要塞陥落の電報を受け、得意の絶頂にあった。参謀本部の南方攻略作戦は大風呂敷を広げたものだったが、それがにわかに現実味を帯びた。首相官邸が沸き立っている頃、麹町の米内光政邸ではリベラル派が会合し、早期終戦にむかっての工作が練られていた。産業組合中央金庫理事の井川忠男と元外相の有田八郎をバチカンに飛ばし、イギリスとの和平仲介を企てていた。合衆国に潜入している海軍高雄学校出身の情報員によると、米海軍は急ピッチで空母の建造をしているという。
昭和十七年二月東条英機首相はシンガポール要塞陥落の電報を受け、得意の絶頂にあった。参謀本部の南方攻略作戦は大風呂敷を広げたものだったが、それがにわかに現実味を帯びた。首相官邸が沸き立っている頃、麹町の米内光政邸ではリベラル派が会合し、早期終戦にむかっての工作が練られていた。産業組合中央金庫理事の井川忠男と元外相の有田八郎をバチカンに飛ばし、イギリスとの和平仲介を企てていた。合衆国に潜入している海軍高雄学校出身の情報員によると、米海軍は急ピッチで空母の建造をしているという。