内容説明
古代史最大の謎は、卑弥呼・邪馬台国の比定地探しであり、もう一つが“記紀”神話を巡る高天の原探索だろう。「神武天皇は実在した」、「卑弥呼は天照大御神」と、日本古代史に大胆な説を提起しつづける著者が、数理文献学による古代史解明の科学的手法を駆使、内外古文献の精査、考古資料の厳密な考証に基づき、「天高の原＝邪馬台国」を論証、そしてその地を北九州・甘木に求める力作論稿。
目次
１ 「高天の原＝地上説」の発展（「高天の原＝大和説」の系譜；「高天の原＝九州説」の進展；その他の「高天の原＝国内説」；「高天の原＝海外説」の系譜；本居宣長の「高天の原＝天上説」）
２ 諸説の検討（邪馬台国問題の高天の原問題；「高天の原＝朝鮮説」は成りたつか；「高天の原＝大和説」の検討）
３ 日本のふるさと（古文献の性質；「高天の原＝九州説」の検討；邪馬台国はどこか）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hyena_no_papa
1
1974年刊行の『高天原の謎』を加筆・訂正、改題したもの。目次を見るに、その項目に新旧大きな相違は無いように見えるが、新版の「はじめに」は分量が多く、恐らくは神武東遷説との関係を述べておきたかった故かも知れない。旧版でも触れていたが、「倭人伝」の行程記事について〝重ね写真説〟の可能性に言及している。この取扱についての安本氏の立ち位置は珍しく曖昧であるように見える。情報というものは幾らでも錯綜するものであるし、『翰苑』「魏略」の記事を見ても『魏志』の現文面には疑って掛かるべき部分が確かにあると思うが・・・。
