内容説明
大自然には仇し女の深情けのようなところがある、大自然に接すれば接するほど、その怖さがわかってくる、とつぶやきながら、ロン先生は自然へ深く分け入って行く。そして、ときにはキノコ泥棒に間違われ、山火事の犯人にされかかり、ダムの放水による大増水から逃げまわりながら、あらゆる生きものにやさしく透徹した眼差しをそそぐ。小さなものたちの弁護人ロン先生のやさしさ溢れる、好評生きもの博物誌。
目次
狩人の耳にカメムシの唄が聞える
遠い海鳴り
刺客は来たり去る
天は無力のものに味方する
波を子守の唄と聞き…
潮風と人魂と狩人蜂と…
クマバチその母と娘に幸あれ
イソップの唄
雑木林の住人たち
太古の冒険者たち
山の友達の唄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
68
光瀬龍の自然観察エッセイ2冊目。1982年単行本刊行、1986年文庫化。当時王道の自然観察エッセイだと思っていたが。改めて読みなおすと、昆虫たち、タコ、ゴカイ、カニ、カモシカ。様々な種類の動物を描いているのは珍しく。また、少年時代・若者時代・執筆した時代など、さまざまなおりの著者自身の人生経験が、苦い体験も含めて描写されているのも、他に類がなく、味わい深い。読み継がれてほしい名作だが、著者の名前自体が忘れられかけているのが、歯がゆいところ。タコらしき生き物が畑のイモを盗むような描写があるが、これは実体験?2025/06/10
MIRACLE
1
自然観察エッセイ(11編)。今では口にすることのなくなった「ゴマダラカミキリ」なんて固有名詞に、少年時代の記憶がよみがえってくる。カニに焦点をあてた「太古の冒険者たち」は怪談じみた体験談にくわえ、節足動物の解説が興味深かった。難点をいうと、話の飛躍が目立つことだ(読みづらい)。逸話も断片的で、しかも結論が出ない話もおおい。本書の紹介文はあとがきからの引用で、1つも本文には登場してこない。注意が必要だ。2012/02/09
権三郎
0
なつかしい感じがする博物誌。2017/09/02
うめ
0
ファーブルをちょっと思い出しました。古書店で見つけたから2巻のみ。1巻も読みたいなー。2010/05/23