出版社内容情報
刀がぶつかり肉を斬る効果音の発明。遺したものの大きさに比して無視に近い扱いを受けてきた鬼才。稀代の“ホラッチョ”真実の物語。『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』『陽揮楼』『吉原炎上』『三匹の侍』『人斬り』……極彩色のエンターテイナー、映画監督・五社英雄。
五社作品の持つ情念に魅せられた著者は関係者への徹底した取材を重ねるが、その生涯を描き出すのは困難を極めた。稀代の“ホラッチョ”五社の証言は、背中の彫り物ひとつをとっても同じ人物のものとは思えないほどときにブレる。どこまでが真実でどこからが嘘なのか? これは、全身エンターテイナー──「人を喜ばせる」ことに生涯をかけた男の、ハッタリ上等、虚々実々の物語である。
テレビ界出身だった五社英雄は、長らく日本の映画評論界から不当に無視に近い扱いを受けてきた。その言動は常に毀誉褒貶の対象だった。真っ白なジャケットとズボンで敵だらけの現場に乗り込み、水たまりがあればそのジャケットを脱いで女優にその上を歩かせて周囲の度肝を抜き(しかも翌日にはまた新品同様の白ジャケットで現れる)、80年には銃刀法違反で逮捕され、一時は映画界を追放されて、すべてを失った。
しかし、現在の時代劇やアクションは五社の存在なくしては語れない。今では当たり前の、刀がぶつかり合い、肉を斬り骨を断つ効果音。これらを最初に生み出したのも五社だった。テレビの小さな画面でいかにして映画に負けない迫力や殺気を出すか? 悩んだ末に辿りついた発想だった。
自らの人生も「演出」した男はなぜその背中に鬼を掘り込んだのか? 台本にはなかった「なめたらあかんぜよ!」の秘密とは?
虚実ハッタリ入り乱れた生涯に翻弄されながら、春日太一が渾身の取材で「鬼」の静かで哀切な真実に迫る。
春日 太一[カスガ タイチ]
内容説明
『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』―極彩色のエンターテイナー、映画監督・五社英雄。肉を斬り骨を断つ効果音の発明など遺したものの大きさに比して無視に近い扱いを受けてきた鬼才。自らの人生も「演出」した男はなぜその背に鬼を彫り込んだのか?虚実ハッタリ入り乱れた生涯に翻弄されながら、春日太一が渾身の取材で「鬼」の真実に迫る。
目次
序章
第1章 情念
第2章 突進
第3章 転落
第4章 復活
第5章 未練
著者等紹介
春日太一[カスガタイチ]
1977(昭和52)年東京生まれ。時代劇・映画史研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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