内容説明
取調室で刑事の執拗な追及を受けながら、私は2度と百花双瞳はつくるまいと思った。そもそも14歳で広州から神戸の華僑宅に奉公に出され、主人から「あんなに美味いものはなかった」と聞かされたのを職人気質の料理長に洩らしたのが始まりだった。しかし、彼に手伝わされて料理法も材料も分かぬまも分らぬまの名点心が、こんなにも恐ろしい結末を呼ぶことになるとは…。人間の宿業に迫る傑作推理集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さぶろうの領土
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表題作を含む5作の短編が収められている。私は18世紀に実在した稀代の詐欺師ジョージ・サルマナザール(台湾誌の著者)について書かれた『神に許しを』が目当てで読んだ。フランス人である彼がなぜ台湾人を名乗り、行ったこともない台湾についてのデタラメな知識を捏造し語ったのか。とても細やかな心理描写で描かれて非常に面白く、なにより説得力があった。5作ともミステリー(推理小説)として書かれているが、ミステリーとして読むよりも、それぞれの登場人物たちの心情や感情を味わいながら読む作品だと思った。2022/01/29
kanamori
0
☆☆★2011/10/17
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- 和書
- 航空とホスピタリティ