感想・レビュー
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hyena_no_papa
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須恵器の研究で知られる著名な考古学者・田辺昭三氏が、昭和40年代の邪馬台国論争ブームに参入して著した本。ほぼ考古学の視点から卑弥呼と邪馬台国について論述している。興味深いのは古田武彦氏と安本美典氏の所論に言及し、いずれに対しても否定的だが、安本氏に対しては更に「老いさらばえた和辻哲郎の旧説に、いかに「数理統計学」という新しい着物を着せたところで、その中身まで変わるわけではないということを知るべきであろう」と手厳しい。その考えが終生不変であったかどうかは知らないが、安本説に皇国史観の匂いを感じていたか。