内容説明
読みの授業のレベルアップを考え合うとき、いつも指摘されるのが「表現をおさえる」ことの重要さです。表現をおさえるには、その表現のからくりを知らなくてはなりません。では、文章の表現には、どんなからくりがあるのだろうか。また、それをどう考えたらよいのだろうか。―このことを、わたしは長い間考えつづけてきました。本書は、こうした課題に対するわたしのささやかな中間報告です。
目次
1 序章 読むことと文法的に考えること(「読みの力」のルーツ;読みの認識ステップ;イメージ形成のチャンネル;読むことの認識過程;読みにおける能動性;読むことと表現を吟味する思考;イメージ形成と関係把握)
2 イメージ形成の文法(視覚イメージの形成;聴覚イメージの形成;触覚、嗅覚および運動感覚イメージの形成)
3 関係把握の文法(語り手の言葉づかい;登場人物の人間関係;ごんの状況―人間疎外;中心人物;悲劇からの出口;動作の意味;会話の描写構造;作品外の情報とその活用;舞台装置としての物と事;人物の行動と時の条件)