文春学藝ライブラリー
ゴシック美術形式論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 301p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784168130601
  • NDC分類 702.04
  • Cコード C0195

出版社内容情報

ヨーロッパ中世に花開いたゴシック美術はなぜどのように生まれたのか? ドイツを代表する美術史家が、その根源に迫った歴史的名著。

20世紀にモダニズムが出現する以前、美術史・建築史を研究することとは、様式を確定し、その変遷がなぜ起こったのかを探り、記述することであった。
特定の時代と地域に固有の様式が生まれるのはなぜか。
その問いに答えるため、ドイツを代表する美術史家ウィルヘルム・ヴォリンガー(1881-1965)は、アロイス・リーグル「芸術意志」という概念を援用した。「芸術意志」とは、特定の時代・地域の様式を創造せしめた固有の情念や衝動のことである。
人類史を見渡し、ヴォリンガーが掴み取った「芸術意志」の二つの祖型は、「抽象」と「感情移入」である。「抽象」には、人間と自然界との敵対的な関係が潜み、「感情移入」には、融和的な関係が潜んでいる。そして、それぞれから生み出された代表的な芸術様式は、エジプトのピラミッドに代表されるような幾何学的・抽象的な造形芸術と古代ギリシャの自然をそのまま写しとったかのような造形芸術である。しかし、人類史を再び鳥瞰したとき、この二つの「芸術意志」では、解明しきれない様式が見出された。中世ヨーロッパに花開いた「ゴシック美術」である。それは、「感情移入」が創造した様式とは言いがたい。しかし、それは幾何学的で抽象的なパターンを繰り返す造形でもなく、「抽象」から生み出されたとも考えにくい。
では、ゴシック美術を創造した「芸術意志」とは何なのか。その問いにヴォリンガーが見事に答えたのが本書である。その記述はきわめて魅力的で説得力に満ちている。1911年に発表された本でありながら、読む者の芸術の見方や考え方を変えてしまうことだろう。
石岡良治氏による、行き届いた解説を得て、名著がここに甦る。

内容説明

ヨーロッパ中世に花開き、大聖堂で頂点を極めた「ゴシック美術」はどのように産み出されたのか?ドイツを代表する美術史家が、芸術を創造する人類の根本的衝動にまで遡り、ゴシックの内奥に潜む情念を鮮やかに描き出す。『抽象と感情移入』に続く主著。

目次

美学および芸術論
人間心理学としての芸術学
原始人
古典人
東方人
初期北方的装飾における潜在ゴシック性
北方的な線の無窮の旋律
動物装飾からホルバインまで
ゴシックの表現世界における超越主義
北方的宗教心〔ほか〕

著者等紹介

ヴォリンガー,ウィルヘルム[ヴォリンガー,ウィルヘルム] [Worringer,Wilhelm]
ドイツの美術史家。1881年、ドイツのアーヘンに生まれる。ベルン大学、ボン大学の講師を経て、1928年、ケーニヒスベルク大学の教授に就任。1946年からはハレ大学教授。アロイス・リーグルの「芸術意志」の概念を発展させ、美術史学に新たな地平を切り拓いた。1908年、『抽象と感情移入』を刊行。「抽象」と「感情移入」という対概念によって、芸術の生成に迫ったこの書物は、表現主義をはじめ、同時代の芸術家に大きな影響を与えた。1965年没

中野勇[ナカノイサム]
1897年、東京生まれ。1926年に東京帝国大学文学部美学美術史学科を卒業。東京帝大助手、国際文化振興会調査部長、龍村織物研究所所員、多摩美術大学講師などを経て、1951年、東京学芸大学教授に就任。美術史方法論の研究に力を注いだ。1961年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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