出版社内容情報
司馬遼太郎、阿川弘之、大西巨人、野間宏。戦争を問い続け、書き続けた大岡昇平が、戦地を経験した九人の文学者と交わす白熱の議論。
戦後を代表する文学者たちの戦争論
司馬遼太郎、阿川弘之、大西巨人、野間宏。戦争を問い続け、書き続けた大岡昇平が、戦地を経験した九人の文学者と交わす白熱の議論。
内容説明
日本の戦争文学を代表する作家、大岡昇平。彼と同様に自らの戦地体験、俘虜体験をもとに名作を生み出した文学者たちとの熱き対談が残されていた。陸海軍文化の違いを阿川弘之と語り、「戦陣訓」の問題を大西巨人、司馬遼太郎と語る。戦争が日本社会に残したものとは何か―。
目次
野間宏―戦争と文学
阿川弘之―つわものどもが夢の跡
いいだもも―転回期としての戦後
古山高麗雄―戦争体験と文学
大西巨人―戦争・文学・人間
古屋健三―『レイテ戦記』を語る
池島信平―戦争の傷痕
司馬遼太郎―日本人と軍隊と天皇
結城昌治―兵士と国家
著者等紹介
大岡昇平[オオオカショウヘイ]
1909(明治42)年‐88(昭和63)年。東京生まれ。京都帝大仏文科卒業。成城高校在学中に家庭教師となった小林秀雄を通して文学活動に親しむ。帝国酸素、川崎重工業に勤務、44(昭和19)年に召集されてフィリピンのミンドロ島に派遣。翌年1月に米軍の俘虜となってレイテ島収容所に送られる。戦後、49(昭和24)年に『俘虜記』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モリータ
11
◆古山高麗雄との、空中戦でない下卑た話も含めての対談がよかった(ついでに「白い田圃」「プレオー8の夜明け」も読む)。ほか、大西巨人、司馬遼太郎、阿川弘之といった大物との話もあり。◆『ミンドロ島ふたたび』は未読なので手に取りたい。『レイテ戦記』は再読したい。◆いい本なのにデザインはショボく紙はペラい。中公文庫で出してほしかった。2019/07/31
CTC
9
15年8月文春学藝ライブラリーで復刊。大岡昇平氏による、野間宏・阿川弘之・いいだもも・古山高麗雄・大西巨人・古屋健三・池島信平・司馬遼太郎・結城昌治各氏(掲載順)との対談集。単行本は昭和47年刊、各初出は昭和28年〜47年の雑誌対談。大岡さんは47年に芸術院会員(終身年金、天皇陪食の機会あり)になる事を辞退している。当時は随分話題になったようだが、今日一般的に理由は「捕虜になった身で恥ずかしい(大意)」と簡単な言葉で説明される。本書内ではより詳しい心境が確認できる。“戦没者に対して”。一貫している。2016/06/23
Haruka Fukuhara
7
内容は解説の言葉で言うところの「戦後がない」世代からすると隔世の感があってあまり面白くない。ただ歴史的な見地から有益かもしれないと思い半ば義務的に文字を追った。「ある世代では戦後が終わっておらず、ある世代では戦後は終わっており、ある世代ではそもそも戦後がない」という解説の指摘には唸った。文庫で1220円という定価は発行部数を予想するとやむを得ないのかもしれないが、価格に見合った体裁を整えても良かったのではないか。表紙のデザイン、紙質、等々とても買う気が起きない。図書館本。2017/03/03
呼戯人
7
民間会社からのインターンシップで自衛隊に派遣する経済的徴兵制が検討されているというが、まず最初の戦地は南スーダンになるのか?大岡昇平は35歳のサラリーマンだったが、昭和19年徴兵されてミンドロ島に派遣された。アメリカの俘虜として、アメリカもやらないような戦争に日本は下請け会社として戦地に派遣されるようになるのか?そんな戦争法案を本当に強行採決するのか。我々はアメリカの奴隷として死ぬのか?2015/09/16
Toska
5
大岡昇平と、「あの戦争」をくぐり抜けた同世代の文士たちとの対談集。3・11やコロナがどれほど衝撃的であろうと、現代人にこういう話はできないだろうな。共通体験としてのスケールが大きすぎる。対談であるため、所々に大岡のナマ口調らしきものが出てくるのが可笑しい。「捕虜というのは結局きたなくてだらしのねえもので、なんかうしろからけつをすっとまくられるような感じ…それが僕の小説にはどうしても出ないんだよね」2021/06/11